Buenos noces!terapeuta!(スペイン語でこんばんは療法士のみなさん)、週の真ん中水曜日の江原です。本日は前回のモデル症例を通じて、プログラム立案や運動療法を処方していくときの具体的な手法を説明していきます。
モデル症例の経過から診断まで
症例は50歳代女性で現在無職。
経過は3年前に頚部と左肩甲骨周囲の痛みを発症し改善と増悪を繰り返した結果、左上肢全体の痛みと左母指アロディニアに至った慢性疼痛です。安静時痛と運動時痛が併存しています。
画像所見で頸椎の変性による左C6椎間孔の狭窄あり、頚椎症性神経根症と診断されました。他院による治療では、C6頸椎病変部に対する侵襲的治療として神経ブロック療法が選択されましたが、効果は数時間程度でした。
このような経過は神経ブロックを施行されている患者にはよくありがちで、理学療法士の中には『神経ブロックは効果がない』と思い込んでいる人も多いと思います。
『神経ブロック療法が効かない』のではなく、『神経ブロック療法が効かない病態ではないか』と疑い思考の展開を進めていきます。神経ブロックが効かないという認識のままクリニカルリーズニングを進めますと、他職種への不信と理学療法アセスメントにも影響します。
慢性疼痛はチーム医療。常に他の診療科の治療を意識します。慢性疼痛は学際的/集学的診療によるマルチモーダル治療が基本です。医師の治療が効かなかった要因を再検討しましょう。
理学療法評価による仮説立案
痛みの構造化しもう一度病態について考え直してみます。注目すべき項目は、
②発現状況:左上肢運動時に増強
⑨増悪因子:家事が忙しいとき
⑩緩解因子:あまり動かなければ徐々に痛みは軽減していく
⑪随伴症状:左肩甲骨周りが痛い
〇予備知識 しびれ感がC6領域にある以外、神経学的検査はほぼNP
〇Pain DETECT(神経障害性疼痛スクリーニングテスト)でカットオフ以下、侵害受容性疼痛の可能性が高いということ。
を抜き出して、痛みの病態について再検討しました。