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介護領域における課題をIoTで解決する【株式会社Rehab for JAPAN|大久保 亮】

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第351回のインタビューは、株式会社Rehab for JAPAN 代表取締役で作業療法士の大久保亮さんです。介護事業所向けリハビリSaaS「リハプラン」を開発し、累計導入事業所数は、450事業所を超えています。IoTが進んだ医療・介護業界における療法士の価値について伺いました。

ITの突破力に魅せられて

 

ー 大久保さんが作業療法士になってから、起業するまでの経緯を教えてください。

 

大久保:作業療法士の資格を取ってから、まずデイサービスに入職しました。そこは、インターン先だったのですが、代表がとても先駆的で、「この人の下で働きたい」と思ったのが理由です。

 

当時は、まだ病院で働き始めるのが一般的だった時代でしたので、大学の担当教員にも「病院で臨床経験を積まないと、患者さんを診ることができない」とも言われました。それでも自分の意思を貫いてデイサービスに就職したことは、いい選択だったと、今振り返ってもそう思います。

 

そしてその後、社会人大学院(CSR:コーポレートソーシャルレスポンシビリティ専攻)に進学し、経営学や統計学等を学び、修士論文では「高齢社会×IT」というテーマで修士論文を書きました。

 

その過程でインターネットの突破力に魅了されたというのが創業のきっかけになります。

 

ー では、貴社が開発されたリハプランについて、簡単にどのようなサービスか、簡単に教えていただけますか?

 

大久保:リハプランは、介護現場に必要な機能訓練業務を誰でも行えるようにする「クラウド機能訓練計画ソフト」です。

 

デイサービスの機能訓練指導員が手がけるリハビリプログラムの内容を、要介護者ごとの身体状況や生活内容を自動的に提案します。用意されている運動プログラムは2,500種類以上で、グラフ化するなどをして把握しやすくしています。

 

機能訓練計画に必要な機能が揃っており、現場職員の書類業務負担を軽減、介護事業所の差別化・売上の支援をしています。

 

健全な事業所間の競争が必要だ

 

ー 介護保険領域のサービスにおける現状の課題と、そこから逆算したリハプランの価値について教えてください。

 

大久保:介護保険領域において課題は大きく分けると「人手不足」と「質」があると思います。一つ目の人手不足については、求人倍率は4倍近くあり、明らかにマンパワー不足です。

 

人手不足を解消するためには、介護人材を増やす方法と生産性向上が考えられますが、まずは、生産性向上を図っていくことが重要だと思っています。働き方を見つめ直して、改善できる所からどんどん改善していかないといけません。その解決策の一つとして、 ICTの導入をどんどん加速度的に進めていくっていうことが非常に大事だと思っています。

 

二つ目の「質」については、今は、ADLやQOLを改善したという自立支援における実績で、事業所間の競争がまだ起こっていません。

 

歴史的背景や様々な意見もあると思いますが、健全な競争が起こらないと、自立支援におけるサービスの質がなかなか改善していかないと思います。介護保険サービス領域をマクロな視点で見たときに、まずそこが取り組むべき課題だろうと考えています。

 

ー 市場原理が働かないと良くなっていかないと。

 

大久保:では、そう捉えたときにリハプランが提供できる価値としては大きく2つ、「利用者の提供価値」と「事業者に対する提供価値」があります。

 

まず利用者の提供価値に関してですが、リハプランを導入している事業者からサービスを受けることで、希望にあった生活課題に対する機能訓練を受けることができます。

 

ご存知かもしれませんが、全国に43,000店舗デイサービスがあるうちに、リハビリ専門職が配属されているところは非常に少なく、個別機能訓練加算を取得しているところも半分にも満たないという現状です。

 

リハビリ専門職不在のデイサービスでも、自分に合ったサービスを、自らが選択することができるようになるというのは、利用者の安心にも繋がります。

 

次に、事業者に対する提供価値についてですが、まず原体験として自分がデイサービスに勤めていた時も、書類作業が業務後に回ってしまうことが、当たり前にありました。

 

書類作成業務の効率化を促進することで、労務環境が改善できますし、事業所の経営改善に繋がります。現場で利用者に向き合う職員さんの負担軽減を図ることが、人手不足という課題と向き合うには非常に重要だと思っています。

 

IT武装したリハビリ専門職

 

ー 「課題」を見つけると言っても、なかなか課題に気づけない人が多いと思うのですが、大久保さんの中で課題の見つけ方みたいなものはあったりしますか?

 

大久保:高齢者の方たちを、利用者さんや患者さんと捉えるのではなく、生活者として捉えたときに、「不便じゃん、これ。」と思えることが大事だと思います。そのアンテナを持っておくことを大切にしています。

 

二つ目に、いろんな人に出会うことです。療法士だけの閉じた環境にいると考え方が偏るので、私は投資家の方や事業会社の方など、社会の中にはめちゃくちゃ優秀な方がたくさんいるので、その人たちの話を聞いて考え方をブラッシュアップしていくことを意識しています。

 

次のページ>> IoTが進むと、リハビリ専門職の役割はどのように変化する?

 

 

介護領域における課題をIoTで解決する【株式会社Rehab for JAPAN|大久保 亮】

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