キャリアがあっても地盤がないと不利
POSTインタビュアー:思い通りにいった部分や行かなかった苦労話などはありますか?
照屋先生:そうですね。わりと挫折という挫折はなくて。小中高さらに養成校を出て、自分で思い描いた通りに行っています。楽しいそれなりの人生は歩んでこられているのかなと思います。
結婚もして子供もいて、当たり前の生活をしながら一つずつ積み上げてここまできた形です。
ただ、実際に沖縄に帰って起業して、最近困っています。キャリアはあっても地域の基盤がないんです。
起業するチャンスすら与えてくれないというか、伝わらないもどかしい思いもしています。
事業計画書を持っていくと、税理士さんや銀行の人には綿密に出来ているから大丈夫と言われたとしても、金融公庫に持っていくとなかなか話が伝わらなかったりしましたね。沖縄で経験してからでも良いのでは?と言われまして。
今まで上手くいっていたことと、ここにきて始めて、上手くいかず夢が終わるのかと思ったことを経験しました。最近のことなので悔しさは今でもあります。
POSTインタビュアー:それは実際に経験しないとわからないことですね。土地、土地で文化や慣習が違うのは生活だけでなく事業の立ち上げなどにも通じているのですね。
今苦しいのは幸せになるための「準備」
インタビュアー:では、最後に学生や若手療法士へアドバイスをお願いします。
照屋先生:他に大先輩がいる中で僕がアドバイスできる立場にはないのかなと思います。むしろまだ挑戦しているところなので。
でもその中で言えることは、先日、県立高校の福祉を選択している高校2年生の子達に「福祉・介護・医療の仕事とリハビリテーション専門職としての役割」のテーマでお話をしてきたんですね。
その子達に一番伝えた思いというのは、『やりたいことがあってもなかなか挑戦できない時に、環境のせいにするのではなく、今やっていることもどこかで生きてくる。
それに今苦しいことは幸せになるための準備。自分だけが苦しいんじゃなくて周りも同じ思いを持っている人もいるし、夢に向かっての準備で苦しんでいるのであれば、それを応援してくれる友達が何人いるか。
その将来なりたいことを恥ずかしくて言えない関係なのか、こうなりたいと言える友達なのか、それを理解してくれる友達が何人いるのか』それがとても重要だと伝えました。
「幸せになる準備」というのがどういうことかと言うのは、何事にも興味を持つということですね。
優先順位も大事ですが、入ってきた情報は素直に気に留めておく姿勢が一番大事なのではないかと思います。
療法士の方で将来を考えている方は、療法士として何が出来るかというよりも、療法士のフィルターではなく、もう少し広い、外からの視点での”私”としてどういうことが出来るか。ということを考えることで立ち直るチャンスであったり、ターニングポイントになると思います。
要するに「幸せの準備」ということを大切にしてほしいと伝えたいですね。
インタビュアー:どうもありがとうございました。
<バックナンバー>
第二弾:沖縄と大阪での関わり方の違い
第三弾:それでも沖縄にこだわる理由
照屋一樹先生経歴
沖縄県沖縄市出身の理学療法士
大阪リハビリテーション専門学校卒業後、みどりヶ丘病院、株式会社メディケア・リハビリ勤務を経て、現在は「株式会社まなざし」代表取締役として訪問看護ステーションを経営している。
<照屋先生の施設紹介がされている「訪問リハビリテーション」>
第5巻第2号2015年6・7月:「整形疾患別の訪問リハビリテーション」キーワード
♯理学療法士 ♯在宅医療
♯訪問リハビリ ♯地域