令和3年度介護報酬改定の主な事項について1月18日、第199回社会保障審議会介護給付費分科会にて発表された。シリーズ第4回目の記事となる今回は通所介護の概要部分のみとしてまとめていきたい。
大枠は以下の通り。引用元の文書はコチラ:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16033.html
【省令改正・基本報酬・加算及び特例】
・省令改正(重要)
・基本報酬・移行支援加算
・事業所規模別の報酬特例
【自立支援・重度化防止の取り組みの推進から】
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの強化
・通所介護や特養等における外部のリハ専門職等との連携による介護の推進
・通所介護における機能訓練や入浴介助の取り組みの強化
・通所介護等における口腔衛生管理や栄養ケア・マネジメントの強化
介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進
・CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進
・ADL維持等加算の拡充
省令改正・基本報酬・加算及び特例
○省令改正○【概要】
通所介護について、利用者の地域における社会参加活動や地域住民との交流を促進する観点から、地域密着型通所介護等と同様に、その事業の運営に当たって、地域住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととする。(省令改正)【基準】
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)において、地域密着型通所介護等と同様の規定を新設する。
↓
第104条の2 (新設)
指定通所介護事業者は、その事業の運営にあたっては、地域住民またはその自発的な活動等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならない。
○基本報酬○
基本報酬全てにおいてプラス改定(6〜12単位)
移行支援加算
・移行支援加算(旧:社会参加支援加算)→17単位(変更なし)
◯事業所規模別の報酬特例◯
通所介護等の報酬について、感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、以下の見直しを行う。
<改定後>
【ア】
・通所介護又は通所リハの大規模型Ⅰについて、通所介護又は通所リハの通常規模型の基本報酬
・通所介護又は通所リハの大規模型Ⅱについて、通所介護又は通所リハの大規模型Ⅰ又は通常規模型の基本報酬
【イ】
基本報酬の100分の3の加算(新設)
注) 「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」(令和2年6月1日事務連絡)で示している請求単位数の特例は、上記の対応が実施されるまでの間とする。
【リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの強化】
通所介護や特養等における外部のリハ専門職等との連携による介護の推進
○生活機能向上連携加算○
<現行>
生活機能向上連携加算200単位/月
<改定後>
・生活機能向上連携加算(Ⅰ)100単位/月(新設)(※3月に1回を限度)
・生活機能向上連携加算(Ⅱ)200単位/月(現行と同じ)
※(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定は不可。
通所介護における機能訓練や入浴介助の取り組みの強化
○個別機能訓練加算○
<現行>
個別機能訓練加算(Ⅰ) 46単位/日
個別機能訓練加算(Ⅱ) 56単位/日
<改定後>
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ56単位/日
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ85単位/日※イとロは併算定不可
個別機能訓練加算(Ⅱ) 20単位/月(新設)※加算(Ⅰ)に上乗せして算定
通所介護における機能訓練や入浴介助の取り組みの強化
○入浴介助加算○
<現行>
入浴介助加算50単位/日
<改定後>
入浴介助加算(Ⅰ) 40単位/日
入浴介助加算(Ⅱ) 55単位/日(新設) ※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可
通所介護等における口腔衛生管理や栄養ケア・マネジメントの強化
①口腔・栄養スクリーニング加算
<現行>
栄養スクリーニング加算 5単位/回
<改定後>
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)20単位/回(新設)
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)5単位/回(新設)(※6月に1回を限度)
②口腔機能向上加算
<現行>
口腔機能向上加算150単位/回
<改定後>
口腔機能向上加算(Ⅰ) 150単位/回(現行の口腔機能向上加算と同様)
口腔機能向上加算(Ⅱ) 160単位/回(新設)(※原則3月以内、月2回を限度)
(※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可)
③栄養改善加算
<現行>
栄養改善加算150単位/回
<改定後>
栄養アセスメント加算 50単位/月(新設)
栄養改善加算 200単位/回(※原則3月以内、月2回を限度)
介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進
CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進
○科学的介護推進体制加算○
<改定後>
・通所系・居住系・多機能系サービス
科学的介護推進体制加算 40単位(新設)
【算定要件】
○ 以下のいずれの要件も満たすことを求める。
・入所者・利用者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること。
・必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。
ADL維持等加算の拡充
○ADL維持体制加算○
<現行>
ADL維持等加算(Ⅰ) 3単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ) 6単位/月
<改定後>
ADL維持等加算(Ⅰ) 30単位/月(新設)
ADL維持等加算(Ⅱ) 60単位/月(新設)
※(Ⅰ)・(Ⅱ)は併算定不可。現行算定している事業所等に対する経過措置を設定。
以上が通所介護に係る改定の概要となる。通所介護の見通しとして大切な部分を考えると、改定のキーワードを整理することから始めてはどうか?
【地域住民、自発的な活動、生活機能向上、個別機能訓練、入浴介助、口腔栄養、科学的】
つまり、、、
【成果の一つとしての自立度向上の見える化と、ケアの全体の質向上】
ではないだろうか?
加算等も提供するケアの質の底上げに必要な部分にスポットが当たった改定となっている。明らかに、機能訓練指導員の関わりが以後キーポイントとなると考えられる。
CHASE・VISIT(LIFE)を基軸とした、データの徹底した収集を求める改定も一つのポイントとなる。データ収集が進めば、自立支援における評価は、より厳しい評価が求められるようになることは明確といえよう。
今行っているADL評価が適正かどうかにもいずれスポットが当たるかもしれない。一方で、相反する本人の希望や、尊厳をどう保持し続けてケアを行うか向き合う必要も忘れてはならず、機能を補完するような側面への提案や実践はどうか?等あまりスポットの当たらなかった部分への視点も大切になるといえる。
次回より詳しく加算の要件などを確認して紐解いていきたい。
【目次】