「価値観の多様性を認める事」
こんにちは!柿澤です。現在、僕は南米のペルーにいます。
ここでは元理学療法士であった僕が世界一周の旅で得た経験や気づきを元にリハビリテーション現場や社会一般でも通じると感じた内容を皆様にお届けしたいと思います。
今回は「価値観の多様性を認める事」についてです。
誰しもが人と関わる中で「あの人は苦手だなぁ。。」「あの人は全然わかってない!」といった思いを抱いた事があると思います。
しかしこれらは解釈を少し変えるだけでその捉え方が変わり、より円滑な人間関係を構築できるものだと考えます。
10人10色の個性の中で、自分を生かしつつ組織や集団の中でどのように生きていくか僕なりの考えです。
リハビリテーションの現場や養成校、ひいては社会一般では大前提として共通理念やルール、そのシステムに基づいてコミュニティが形成されています。そこには常に人と人の介入が存在し、リハビリテーションでは「人対人」の関わりであるが故に、良好な関係性の構築には上記前提を元にした建設的な意見の交換や相手の価値観、モラルを考慮した理解が大きな要素になるかと思います。
そしてここのギャップが大きければ大きいほど冒頭での感情を抱く事になります。
この思いは人間であれば誰しもが抱く感情であり否定する事ではありませんが、これらの感情は自分や相手も含めうまくコントロールしなければ組織の中で良好な関係性を保ちにくいものだと考えます。
世界を旅していると本当に色々な人に出会い、様々な文化に触れます。同じ人間でも環境や境遇が異なるとこんなにも生き方や考え方が違うという事を実感する毎日です。
特に印象的だった例が、インドを旅している際に出会った家族の話です。
インドでは1950年にカースト制度(身分制度)が廃止されたとはいえ宗教上の長い習慣によりまだ根深く残っています。低い身分の階級に生まれると一生暮らしは変わる事はなく、乞食の子供は乞食、お金持ちの子供はお金持ちのままその習慣にあらがう事は出来ません。結婚も同カースト階級内で、親が決め、自由結婚はごくわずか。また輪廻転生の死生観とカースト制度の現状より、低いカースト階級の人々は僕たち日本人が持ついわゆる「夢」という概念はありません。あるのは「現世の良い行いにより来世では身分の高いカーストに生まれ変われる」という事のみ。
日本じゃ考えられないですよね。
僕が出会った家族は低い身分の階級で、3畳ほどの家に6人で暮らしていました。何なら家の中で寝られないので子供は外で寝ています。彼らはゴミ拾いで生計をたてており、僕らの一般的な生活水準と比較するとその差にカルチャーショックを受けます。
その家族とご飯を一緒に食べたり、サッカーを一緒にして度親交を深めたところで、僕は失礼を承知でこんな質問をします。
「ねぇ、この生活は幸せ?」
日本で27年間生きてきた「僕基準」の生き方では上記仕組みがあるインドでこの家族が不憫に思えたからです。しかし意外な答えが返ってきました。
「もちろん幸せさ。今ある生活で満たされているよ。家族が一緒に生活できる事が僕たちの何よりの幸せ」と。
僕は僕の価値観でしか物事を捉えていませんでした。カースト制度と宗教観が色濃い中でお世辞にも豊かな暮らしではない。しかし家族全員笑顔で暮らし温かいな心を持っている。彼らはそれで満足しているし、それ以上僕が思いを巡らせる必要もありません。
僕は僕の生まれて育った環境や経験を元にしかそれらを推測できません。自分の思っている世界や価値観が全て当てはまる世界ではない。何十億人いる中の1つにすぎない。それを自分の価値観だけを物さしにするのは難しい。これは属しているコミュニティでもそう。自分の思いや信条を持つ事は大事だが、そこに柔軟性を持ち相手の気持にも触れる事がお互いの理解に繋がるのではないだろうか。
コミュニティ内で自分が感じた思いというのが、大前提でその理念やルール、状況から逸脱していないかを判断しそれ以外の価値観の問題であれば、
「そういう考え方もあるよね。けど僕はこう思っているよ。こうした方がいいと思うけどどうかな?」と相手の考えを踏まえた上で返答すれば感情的ではなく「建設的」な意見での関係性を築けるのではないかなと思います。
「10人10色」とは正にこの事。
これは立場や状況によっても対応が異なりますが(例:統率する立場や緊急性を求められる状況など)、基本的にはこの「価値観の多様性を認める」という意識を持っている事が重要だと思います。
しかし注意するのは先ほどあげた大前提が共有できないのであれば無理にその意見を飲み込む必要はなく、自分の理念にあった組織にまず身を移す事が重要だと感じます。
根本で無理をするといつか心が壊れてしまいますからね。
「理念」や「思い」が共有できるコミュニティで、出た意見に対して「柔軟性に解釈」しそれを感情とする。
何ならいい気持で物事に取り組みたいですし、お互い分かり合って真剣に楽しさと向き合いたいものです。
これを共有してワクワクしたものを作れる集団って最高だなぁと単純な僕は思います。
もし職場や学校、その他の集団の中でこのような気持ちを感じているようであれば、このような考え方も一助としてお役に立てれば幸いです。(第9弾に続く・・・・)
【柿澤氏よりアンケートご協力へのお願い】
現在「世界一周」の施術旅を元PT的な視点で実践されている柿澤氏ですが、旅を通して「バックパック」について理学療法士的な視点で関われるのではないかと気がついたと言います。
そういった背景の元、新しい取り組みとしてバックパックに関するアンケートを集計しています。
5分程で終わる簡単なアンケートですので是非ご協力の方よろしくお願いします!
柿澤健太郎先生 経歴
【所有資格】
理学療法士
【経歴】
静岡医療科学専門学校卒業 (現在臨床7年目)、卒業後「フジ虎ノ門整形外科病院」にて急性期~回復期~外来を経験
御殿場南高校野球部帯同(2013~2014)
御殿場看護学校非常勤講師(2014)
勉強会団体「丸裸会」会長(2011~)
<バックナンバー>
連載第1弾:私が病院勤務を辞め、世界を目指したきっかけ
連載第2弾:旅の過程は「臨床推論」と同じ
連載第3弾:多くの療法士はまだ本気を出しきれていないのではないか?
連載第4弾:覚悟を持った行動が自分を成長させるチャンスとなる
連載第5弾:施術を通した「出会い」を大切にするために考えていること
連載第6弾:目標設定の必要性とそこに到達する為には
連載第7弾:物事に対峙する際の心構え、所作
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