理学療法士(PT)平川倫恵先生ー尿失禁に対するリハー

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尿失禁に対する研究の開始

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大学3年生の時に、研究室を決めるのですが、その時に名大の鈴木重行教授の研究室で尿失禁に関することを研究し始めました。この分野は、保険診療が認められている分野ではないので、その当時はこの分野でやっていけるという見込みはありませんでした。

でも、運良く当院ウロギネコロジーセンター長・ウロギネ科部長である野村昌良先生に学会でお会いしたことをきっかけに、亀田メディカルセンターに入職することができ、現在に至ります。大学3年生の頃に授業で用いられた英語の論文がきっかけで、尿失禁に関する分野に興味を持ち始めました。

Human hip musculature, artwork

今でこそスタンダードな内容かもしれないですが、当時は「骨盤底筋」というものを知りませんでしたし、この筋肉をトレーニンングすることで、尿失禁の改善効果が得られるリハビリテーションができることに驚いたのを覚えています。

 

 
 
 
 

英語論文からの情報収集

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英語論文を読むことで世界のより多くの情報が得られ視野が広がると思いますので、私はおすすめしたいと思います。英語に関して苦手意識を持っている人も多いとは思いますが、英語論文の法則みたいなものをつかめれば、入りやすいのではないかと思います。

基本的に、論文は英語に限らず一定の法則で書かれていますので、論文の構造に関する基礎知識さえおさえていれば意外に読みやすいのではないかと思います。

 

尿失禁のさまざまな要因

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尿失禁や骨盤臓器脱などのウロギネコロジー疾患の根底には、単に骨盤底筋の筋力が弱くなるということだけではなく、姿勢も関係しているような印象を受けています。

実際、胸腰椎が後弯して、さらに骨盤も後傾すると骨盤底筋の筋活動量が低くなるという報告があります。尿失禁や骨盤臓器脱が発症する原因はさまざまで、加齢とともに筋力が弱くなってしまうほか、介護をするようになって重いものを持ち上げることが多くなるといった環境の変化でも起こることがあります。

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それでもやはり一番大きな原因は、出産の時の骨盤底筋へのダメージだと思います。やはり、骨盤底筋へのダメージが広範囲にわたる場合は、症状が重度化しやすいような印象があります。

最近は特に中高年の女性だけでなく、若い産後の女性のリハビリの需要が非常に増えているように思います。実際に診たケースはないですが、医師などから、最近は中高生などの非常に若い年代でも尿失禁が増えていると伺ったことがあります。

バスケットボールやバレーボールなどの跳躍系はやはり、腹圧性尿失禁が起こる確率も高くなるようです。なかなか人に相談できるものでもないので、私は啓発活動により若年者であっても尿失禁は起こりうるのだという認識を高めていくことが必要になると思います。

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亀田京橋クリニック限定ではありますが自由診療を行っており、1日に約10名の患者さまが来院されます。初診の方は不安も大きいと思いますので、ゆっくり1時間ほど時間をかけるようにしています。

ゆっくりと時間をかけてお話しながらリハビリを行っていくと「こんな悩みがあるのは私だけだと思っていた」、「これから先どうなってしまうのだろうとずっと不安だった」とお話してくださる患者さまがとても多いのです。

特にこの分野では身体面だけでなく、メンタル面のケアも合わせて行っていくことがとても大切だなと実感しています。再診の方は個々に合ったメニューで30分枠のなかでリハビリを行っています。

 

平川倫恵先生経歴

【経歴】

平成20年3月 名古屋大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 卒業

平成22年3月 名古屋大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻

       理学療法学分野 博士課程(前期課程)修了

平成25年3月 名古屋大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻

       リハビリテーション療法学分野 博士課程(後期課程)修了

       (リハビリテーション療法学博士 取得)

平成25年4月 亀田メディカルセンター ウロギネコロジーセンター 入職

平成25年9月 亀田京橋クリニック「女性のための骨盤底リハビリ外来」開始

現在に至る

【論文】

  1. 平川倫恵,野村昌良,三輪好生,清水幸子:骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術前後の尿失禁および過活動膀胱症状に関する調査.泌尿器外科 28:1081−1085,2015
  2. 平川倫恵,野村昌良,鈴木重行,清水幸子:腹圧性尿失禁に対する理学療法のエビデンス.理学療法学 41:312−319,2014
  3. 平川倫恵:骨盤底筋トレーニングの指導.泌尿器ケア 19:891-896,2014
  4. Hirakawa T, Suzuki S, Kato K, Goto M, Yoshikawa Y:Randomized controlled trial of pelvic floor muscle training with or without biofeedback for urinary incontinence. Int Urogynecol J 24: 1347-1354, 201
  5. 平川倫恵,加藤久美子,鈴木重行:腹圧性尿失禁に対する理学療法.難病と在宅ケア 18: 25-28, 2012
  6. 平川倫恵,加藤久美子,鈴木重行:女性泌尿器科外来における下部尿路リハビリテーション.Monthly book medical rehabilitation (148):61-67, 2012
  7. 平川倫恵, 鈴木重行, 加藤久美子:尿失禁診療における多職種協働, 理学療法士の立場から.日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 16:318-319,2012
  8. 平川倫恵, 鈴木重行, 加藤久美子:女性腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋体操, バイオフィードバック療法.排尿障害プラクティス 19:122-128,2011
  9. 平川倫恵:腹圧性尿失禁に対する運動療法.理学療法学 37:292-293,2010
【著書】
  1. 平川倫恵:尿失禁,Ⅹ.ウィメンズ・ヘルス,理学療法診療指針,内山靖・他(編),医学書院,東京,pp475-477,2015
  2. 平川倫恵:骨盤底機能障害に対する基本的アプローチ.ウィメンズヘルスリハビリテーション,ウィメンズヘルス理学療法研究会(編),メジカルビュー社,東京,pp283-297,2014
  3. 平川倫恵:新しい分野への挑戦−尿失禁に対する理学療法−,臨床コラム,標準理学療法学 理学療法学概説,内山靖(編),医学書院,東京,pp160,2014

 

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