基礎の徹底
理学療法士を目指し、現場にようやくたどり着くと「何としても結果を出したい」と日々試行錯誤します。その結果として、基礎を疎かにすることも多々経験することと思います。そもそも基礎とは何か?という定義も難しくはありますが、本書で紹介されているストレッチにおいては、その典型的な技術の一つかもしれません。
そもそも今患者さんに提供しているストレッチは、どのようなプロセスにおいて導き出された選択でしょうか。そんな問いにロジックで回答できない方は本書を有効に活用できるかもしれません。本書の特徴は、姿勢と動作から機能的な問題点を抽出し、ストレッチないしエクササイズを実行するための手順書となっています。各部位(頚椎・胸椎、肩関節・肩甲帯、腰部・骨盤帯、股関節、膝関節、足部・足関節)に対してスクリーニングがから始まり、徒手的アプローチを経て、セルフエクササイズという構成になっています。
ある意味でTo Doリスト化されている本書は、評価において大雑把であると言えますが、詳細評価を行うにしても動作スクリーニングテストは重要な評価となります。その点、細かい評価項目に関しては各自で学ぶ必要があるでしょう。
エクササイズのアイディア
エクササイズにおいてマンネリ化することはよくあることだと思います。ある機能障害に対してのエクササイズとして同じ方法を実行することが悪いということもないでしょうが、アイディアつまりは引き出しを持っておくことに無駄はないかと思います。その点、本書はエクササイズの引き出しを増やすための書籍としても活用できるでしょう。
ただし、書かれていることをそのまま臨床に導入することは、個人的にオススメしていません。完全に個人的な感想になるため、無視していただいて良いのですが、まずは自分で動いてみることをオススメします。例えば、本書の内容の中で胸椎に対するエクササイズが豊富に掲載されています。胸椎のエクササイズは、股関節や膝関節と違い目視にて確認することが難しい部位であり、動きとしても非常に小さなものです。
頭ではわかっていても、それを動きとして体現することは容易ではありません。ともすれば、それを指導するとなるとより難しくなります。セルフエクササイズを提供するとよく聞かれる「出来ているのかわからない」という悩みの解決にもつながることと思います。
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