【書評】膝関節機能障害のリハビリテーション |石井慎一郎 (編集)

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今回は羊土社様より献本をいただきましたので、書評させていただきます。本書は、「膝関節機能障害のリハビリテーション」です。痛みの理学療法シリーズとして第4弾となる本書は特に図、イラストにこだわった書籍といえます。

新刊書のみるべきポイント

タイトルだけ見ると一見、これまでの書籍となんら変わらないように感じます。そのような書籍であっても、もし本屋さん等で新刊書を見ることがあれば是非見てもらいたいのが図やイラストです。内容においては基本、目次を見て内容を判断することがありますが医学書においては個人的に、図やイラストを重要視することがあります。

 

つまりは、今まで見たことのない図やイラストがないか、という視点です。見たことがない図やイラストということは、知らない知識かこれまでに図解されなかった内容ということになります。その点本書は、図やイラストにこだわりを感じることができると思います。単純に解剖図をイラスト化するだけでなく、その機能を理解するための簡易図が秀逸です。

 

これだけでも本書を手元に置いておく意義は高いように感じます。

 

序文が重要

ほとんどの書籍では「序」という冒頭に書かれる文章があります。ここには書籍が誕生するまでの過程が物語として描かれていたり、著者の想い等が書かれています。つまり、著者視点での書籍指南書となります。今回の書籍においてもここに書かれている文章が非常に重要であると感じました。

 

先ほども「タイトルから真新しさを感じない」と書いた通り、タイトルだけでは本書の使い方はわかりません。序文を読んでみると冒頭部分で、

膝関節痛の病態は千差万別であり、疾患固有の特性のほかに、同一疾患であっても症例によって異なった病態を示す。そのため、膝関節痛に対する理学療法は、症例の個別性に則した理学療法プログラムが立案されるべきであり、疾患別に規格化された理学療法プログラムを提示することは現実的ではない。

と書かれています。つまり本書はこれまでの書籍同様の疾患縛りに限局した書籍とは異なるということです。膝関節においては疾患特性の問題他、動作中の運動が機能解剖学的合理性を満たしていないという普遍的な問題を有しています。本書はこの機能解剖学的合理性を満たしていないという普遍的な問題を解決するための理学療法を解説しています。

 

是非みなさんも、お手持ちの書籍の序文を読んでみてください。

▼立ち読み▼

【書評】膝関節機能障害のリハビリテーション |石井慎一郎 (編集)

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