今回は腰痛の評価について解説します。整形外科に関わっているセラピストはもちろんの事、その他さまざまな環境でも「腰が痛い」という訴えは非常に多く耳にすると思います。腰痛の原因は、脊柱管狭窄症やヘルニアといった特異的腰痛よりも原因がはっきりしない非特異的腰痛が多いとも言われており、「この人はなんで腰が痛いんだろう・・・」と評価に困る事も多いと思います。
そこで今回は、腰痛の方を担当した際に「まずはこれをやるのがおススメ!」という評価方法を紹介します。この方法で評価すると、なぜ痛いのか、治療はどうすれば良いかが明白になりますので、是非最後まで読んでいただければと思います。特に腰痛の患者さんを担当する事に慣れていない新人セラピストさんや整形外科以外の分野でご活躍のセラピストの皆さんには非常に役に立つと思います。それでは参りましょう!
①屈曲で痛いか?伸展で痛いか?を見る
1つ目の評価は、屈曲で痛いか?伸展で痛いか?を見る事です。これを見る事で、ある程度病態を絞ることが出来ます。
屈曲で痛い場合
屈曲で痛がる病態としては
・腰椎椎間板性疼痛(ヘルニアを含む)
・筋コンパートメント性疼痛
・腰椎圧迫骨折
などが考えられます。何故屈曲で痛い場合、これらの病態が考えられるかというと椎間板や椎体は腰椎屈曲によって圧迫ストレスがかかるからです。こちらのグラフをご覧ください。
こちらは、静止立位時の椎間板の内圧を100%とした場合、各姿勢の椎間板内圧はどう変化するかを表してます。ご覧の通り静止立位と比べて、
・静止座位
・座位での体幹屈曲
・立位での体幹屈曲
・物を持った姿勢
で内圧が向上しているのが分かります。これらの姿勢に共通する特徴として、体幹の屈曲があります。では、なぜ体幹が屈曲すると椎間板の内圧が向上するのでしょうか?下の図を見てください。
体幹が屈曲位になると脊柱起立筋の緊張が増加します。それによって脊柱起立筋が収縮する力によって椎間板を圧迫する力が増加します。だから、体幹の屈曲によって椎間板の内圧が高まり椎間板性の疼痛が生じると考えられるのです。椎間板同様に腰椎の椎体も同様に体幹の屈曲により圧縮力が高まると考えられます。
腰椎のコンパートメント障害に関しては、体幹が屈曲位になると腰背筋膜の緊張が高まり、それによって脊柱起立筋を圧迫し症状が出現すると考えられます。以上の事から、体幹の屈曲で痛い場合は、腰椎椎間板性疼痛、腰椎圧迫骨折、腰椎コンパートメント障害が病態として考えることが出来ます。