13日労働政策審議会は、加藤厚労大臣に対し「第14次労働災害防止計画」について答申したと報告。事業者に対して労働者の転倒予防や腰痛予防、運動習慣の推進を求める一方で、これらを達成するために国等が取り組む事項に「理学療法士等を活用した事業場における労働者の身体機能の維持改善の取組を支援するとともに、筋力等を維持し転倒を予防するため、「Sport in Life プロジェクト」(スポーツ庁)と連携してスポーツの推進を図る」と明記。
以前より行われていた「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会」においても「労働災害防止のため事業場において理学療法士等も活用して労働者の身体機能の維持改善を図ることは有用であり、国はそのための支援体制を拡充すべき。」と検討事項に明記されている。
第14次労働災害防止計画において理学療法士に関連する部分を以下抜粋し掲載。
労働災害防止計画とは:労働災害の防止のために、国、事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組む事項を定めたもの。 第14次計画は、2023年度を初年度とする5年間を対象とし、計画の目標と重点対策は厚生労働省のサイトにて公開。
▶︎https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31063.html
(2)労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進
ア 労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
・転倒災害は、加齢による骨密度の低下が顕著な中高年齢の女性を始めとして、極めて高い発生率となっており、対策を講ずべきリスクであることを認識し、その取組を進める。
・筋力等を維持し転倒を予防するため、運動プログラムの導入及び労働者のスポーツの習慣化を推進する。
・非正規雇用労働者も含めた全ての労働者への雇入時等における安全衛生教育の実 施を徹底する。
・「職場における腰痛予防対策指針」(平成 25年6月18日付け基発 0618 第1号。以下「職場における腰痛予防対策指針」という。)を参考に、作業態様に応じた腰痛予防対策に取り組む。
イ アの達成に向けて国等が取り組むこと
・事業者が安全衛生対策に取り組まないことにより生じ得る損失等の他、事業者の自発的な取組を引き出すための行動経済学的アプローチ(ナッジ等)などについて研究を進め、その成果を広く周知する。
・「健康経営優良法人認定制度」等の関連施策と連携し、転倒・腰痛防止対策の具体的メニューの提示と実践に向けた事業場への支援等を図る。
・転倒等災害防止に資する装備や設備等の普及のための補助、開発促進を図る。
・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術(ノーリフトケア)や介護機器等の導 入など既に一定程度の効果が得られている腰痛の予防対策の普及を図る。
・理学療法士等を活用した事業場における労働者の身体機能の維持改善の取組を支援するとともに、筋力等を維持し転倒を予防するため、「Sport in Life プロジェクト」(スポーツ庁)と連携してスポーツの推進を図る。
・骨密度・「ロコモ度」・視力等の転倒災害の発生リスクの見える化の手法を提示・周知する。
・中高年齢の女性労働者に多い転倒災害の発生状況や第三次産業の業界の実態に即 した基本的労働災害防止対策の啓発ツール等の作成
・周知を行うとともに、アプリ、 動画等を活用した効率的
・効果的な安全衛生教育ツールの開発・普及を行う。
・労働安全衛生総合研究所や研究者との連携の下、労働者死傷病報告データの分析や 転倒・腰痛災害防止のための調査
・研究体制を確保し、多角的に研究を推進する。
・このほか、「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会」における検討を踏まえた取組を進める。
【合わせて読む】
・労働災害防止に理学療法士は有用|第4回転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会