皆さん、こんにちは。火曜日担当の藤本裕汰です。本日もよろしくお願い致します。本日は評価の中でもバランスに対する評価を解説していきます。バランスに関しては様々な要素が関係しているため、今週はバランスの概要・来週と再来週で実際の評価に対して解説していきます。
バランスとは
バランスとは良く聞くと思いますが、臨床の中では都合のいい言葉として使用されることが多い印象です。バランスが悪いとまとめて言いますが、多くの構成要素がありどの要素が障害されているかによって介入も大きく変わります。バランスが悪いから筋力強化をするというのは確実に良くなるわけではないので注意が必要になります。
バランスは姿勢制御とも呼ばれ、姿勢制御とは安定性限界の範囲内に質量中心を保持する能力と言われています1)。姿勢制御には安定性と定位という2つの要素が挙げられます。安定性はよく考えられるバランスのことで定位とはどの様なアライメントかということになります。以下の図では右への重心移動でどちらも安定していても立ち直りを認める右側を目指すと思います。これが定位になります。
本日は構成要素・神経回路について解説していこうと思います。
バランスの構成要素
先ほどバランスには様々な構成要素があるとお伝えしましたが、大きく7つの要素が関係しています。7つに関しては大きく分類すると感覚系、統合系、出力系の3つに分けられ、それぞれの要素が関与します。
感覚系
感覚系には個々の感覚系、感覚戦略があります。個々の感覚には体性感覚、前庭感覚、視覚が大きく関与します。関与は少ないですが聴覚や嗅覚といった情報に関しても影響することもあります。
そして感覚戦略とは体性感覚、前庭感覚、視覚をどの様に使用していくかというものになります。基本的にこの3つの比重に関しては人により異なり、重み付けされています。
健常者の安静立位では視覚70%、体性感覚20%、前庭器官 10%と報告2)されています。また、視覚が遮断された際には前庭感覚60%、 体性感覚 40%と言われています。これだけ見ると視覚・前庭感覚が一番大切かなと思ってしまいますが、 実際に姿勢制御の際に使用するには体性感覚の割合が高くなり、視覚10%、 前庭感覚20%、体性感覚 70%となります。
この重み付けに関しては人によって変化があることが特徴です。脳卒中片麻痺に対して、重み付けを調べた研究3)では視覚45%、体性感覚35%、前庭器官 25%となっています。この様に疾患により変化を認めるため重要な要素になります。