慢性手術後疼痛のリスクとマネジメント

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週の真ん中水曜日の江原です。痛みのリハビリテーションを円滑に進めるための疾患の知識シリーズ、引き続き慢性二次性疼痛の慢性手術後疼痛について進めます。本日は術後痛のリスクとマネジメントについてです。術後痛は、炎症メディエーターの放出や虚血やナトリウムチャネルの活性化の結果、末梢性感作による自発性電位が発生し痛覚過敏やアロディニアなどの過剰な痛み(感覚障害)が生成されます。末梢からの侵害受容刺激が増加し、中枢神経が過剰に反応すると中枢性感作も関わり術後急性痛が形作られます。

慢性手術後疼痛のリスク因子

手術に至る病歴は様々であるため、予定されていた手術など定型的な手術を元に調査されています。慢性手術後疼痛のリスク因子は表1の様になっています。

表1 慢性手術後疼痛のリスク因子

表1 慢性手術後疼痛のリスク因子

リハビリテーション領域では、人工膝関節全置換術(以下、TKA)後の膝関節の術後疼痛が注目されています。TKA後では対象の15%に3年程度の慢性術後痛が持続するという報告があり、遷延化に関係する研究が続けられています。TKA術後の痛みに関わる要因を検討した報告では、身体知覚異常の要素の1つであるneglect like symptomsと痛みの破局的思考が術後痛に関与しているという報告があります(Hirakawa Y et al 2014)。

脳腫瘍後に生じる徴候(運動無視)や複合性局所疼痛症候群(CRPS)で報告されていた症候で、自分の体の一部が他人のもののように感じたり(認知ネグレクト)、全力を出さないと四肢が動かせない(運動ネグレクト)などが起こります。

身体認知異常はCRPSだけでなく腰痛や肩関節痛症例にも認められる徴候ですが、TKA術後疼痛の身体認知機能にも注目するとよいです。

慢性手術後疼痛のリスクとマネジメント

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