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心臓リハビリテーションのエビデンス

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心臓リハビリテーション(心リハ)は、心血管疾患を患う人々にとって、身体的、心理的、社会的な回復を促す重要な役割を果たします。多職種による包括的なアプローチと、患者の個々のニーズに応じた治療プランの提供が、心リハの成功に不可欠です。この記事では、心リハの定義、チーム医療の役割、時期的区分、運動療法の手法、そしてそのエビデンスについて深く掘り下げ、心リハの全体像を明らかにしていきます。

心不全患者における心リハの効果

包括的な心リハを実施することにより、心不全患者の予後が改善されることが報告されています。具体的には、心不全の再発、心血管イベント、心血管死亡率などが有意に軽減することが確認されています※1

心不全患者の年齢上昇とその影響

日本における心不全患者の平均年齢は、2017年から2020年の間に78.1歳と上昇※2しています。高齢心不全患者は、合併症の有無、低体力、フレイル、身体機能の低下、認知症、うつ病などの精神的問題や、社会的フレイル(社会的孤立)などの問題を抱えることが多いです。

心不全患者の中で、フレイルの状態を呈するケースは非常に多いとされています。心不全におけるフレイルの保有率に関するデータによると、フレイルの兆候を一切呈していない患者は全体の13.5%にとどまります。一方で、身体的、社会的、認知的なフレイルの3つ全てを持つ患者は約20%を占め、2つのフレイルを有する患者も約30%存在すると、先行する研究において報告3されています。

心リハへの参加率とその理由

日本における心不全患者の心リハ実施率は、入院リハのみが33%、入院と外来リハを併用しているのはわずか7%で、60%は実施していないとされます※4。低参加率の理由には、医師の勧めの不足、リハ施設へのアクセス困難、併存疾患の存在などがあります。

フレイルな心不全患者の心リハ効果

重度のフレイルを呈する心不全患者では、心リハの効果が得られにくく、予後改善効果も低いと言われています。フレイルは、低栄養やサルコペニア(筋力・運動耐容能の低下)と関連し、心不全の発症リスクを高めます。

心不全患者への個別対応の重要性

心不全患者の身体機能に合わせたオーダーメイドのリハビリテーションが重要です。低ADLの患者は、筋力やADLの向上を目指す筋トレや立ち上がり練習などが重要です。フレイルの患者は、筋力トレーニングや耐久性向上を目指すリハビリテーションが必要で、壮健な患者は従来型の心リハが適用され、運動耐容能の向上を目指します。

まとめ

心リハは、心不全患者の予後を改善し、生活の質を向上させるための多面的な治療法です。急性期から維持期に至るまで、患者の状態に応じた運動療法の実施が重要です。日本における心不全患者の高齢化とフレイルの増加は、心リハの実施における新たな課題を生み出しています。適切な運動療法の選択と個別化されたリハビリテーション計画の策定は、これらの課題に対応するために不可欠です。最終的に、心リハは患者一人ひとりの生活をより良いものに変えるための力強い手段であり、その実施と普及が求められています。

【目次】

心臓リハビリテーション概論

[参考文献]

※1BelardinellR, et al:Randomized, controlled trial of long-term moderate exercise training in chronic heart failure: effects on functional capacity, quality of life, and clinical outcome Circulation, 1999. 99. 1173-1182

※2Takabayashi K, et al. The clinical characteristics and outcomes of heart failure patient with chronic obstructive pulmonary disease from the Japanese community-based registry. Heart Vessels: 36(2)2021

※3Matsue Y et al:Prevalence and prognostic impact of the coexistence of multiple frailty domains in elderly patients with heart failure: the FRAGILE-HF cohort study. European Heart Journal 2020 Nov;22(11):2112-2119.

※4Kamiya K, et al:Nationwide Survey of Multidisciplinary Care and Cardiac Rehabilitation for Patients With Heart Failure in Japan - An Analysis of the AMED-CHF Study. Circ J 2019; 83: 1546-1552.

参考:心不全リハビリテーションの基礎知識(セラピスTV)

【目次】

チャプター1:心不全の病態①
チャプター2:心不全の病態➁
チャプター3:心不全の評価 心臓超音波検査
チャプター4:生活期における心不全のリハビリテーション~在宅におけるリスク管理・生活管理~
チャプター5:心不全に必要なディバイスの知識
チャプター6:心不全のリハビリテーションに必要なバイタルサインの解釈
チャプター7:心不全のリハビリテーションに必要な薬剤治療の知識①
チャプター8:心不全のリハビリテーションに必要な薬剤治療の知識②
チャプター9:急性期における心不全のリハビリテーション
チャプター10:心臓リハビリテーションの概論
チャプター11:胸部レントゲン/血液生化学検査について
チャプター12:心不全患者のフィジカルアセスメント
チャプター13:回復期における心不全のリハビリテーション

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心臓リハビリテーションのエビデンス

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