皆さん、こんにちは。火曜日担当の藤本裕汰です。本日もよろしくお願い致します。前々回・前回から感覚障害について解説しています。本日は感覚障害の中でも平衡感覚について解説していきます。
平衡感覚
平衡感覚は特殊感覚に分類され、バランス維持に重要な役割を果たします。内耳の半規管(回転加速度の感知)と耳石器(直線加速度の感知)が主要な器官です。これらの器官から得た情報は前庭神経を介して脳幹の前庭神経核に伝達されます1)。前庭神経核は以下のように機能分化しています。
上核・内側核:半規管・耳石器からの入力処理
外側核:前庭脊髄路を形成し抗重力筋の制御
下核:小脳との連絡
平衡反射の種類:
前庭脊髄反射:姿勢保持のための体幹・四肢筋の調整
前庭動眼反射:頭部運動中に網膜像を安定化(例:頭部右回転で左向き眼球運動)
前庭頸反射:頭部と体幹の位置関係調整(頭部左傾で右頸筋収縮)2)
平衡感覚障害はめまいや転倒リスクの増加につながります。
・高齢めまい患者の45%に前庭機能低下(カロリック検査による)3)
・加齢性前庭障害(presbyvestibulopathy):60歳以上で前庭毛細胞が年1%減少4)
・転倒高齢者の80%に前庭異常(vHITとcVEMP併用検査で検出)5)
この様に平衡感覚が障害されることでめまいや転倒につながるため、評価や介入が必要になる要素だと考えられます。