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腰椎変性すべり症分類システムの歴史

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従来分類の限界を超えた全身アライメント統合評価

診察室で腰椎変性すべり症の患者を前にしたとき、私たちはこれまで主にMeyerding分類に頼って病態を評価してきました。「Grade Iの変性すべり症ですね」という説明は、確かに医師間では通じる共通言語でしたが、果たして患者さんの症状や予後を適切に表現できていたでしょうか。

80年以上使われ続けてきたこの分類システムに、いま大きな変革の波が押し寄せています。中国・北京大学人民病院のチームが発表した新しい分類システムは、従来の「すべり度だけを見る」視点から脱却し、患者一人ひとりの体型と年齢を考慮した、まったく新しいアプローチを提示しています。

80年続いたMeyerding分類

圧倒的な簡潔性という武器

1932年にMeyerdingが提唱した分類は、X線写真上でのすべり度を4Gradeに分ける極めてシンプルなシステムでした。その簡潔性は医師にとって使いやすく、研究でも一定の再現性を示すことが証明されています(Mac-Thiong et al., 2012)。

しかし、日々の臨床現場では違和感を覚えることも多かったのではないでしょうか。「同じGrade Iなのに、なぜこの患者さんは症状が軽く、あの患者さんは重篤なのか?」という疑問です。

現実との乖離

実際、Jacobsen et al.(2007)のデンマークでの大規模調査では、すべり度と症状の重篤度に明確な相関がないことが示されています。変性すべり症の約90%はGrade Iに分類されるため、この分類だけでは患者の状態を十分に区別できないのです。

私自身、理学療法を行う中で「同じGrade Iでも患者さんの反応が全然違う」という経験を何度もしてきました。ある患者さんは軽い運動療法で劇的に改善する一方、別の患者さんは保存療法に抵抗し、結局手術に至るケースも少なくありません。

腰椎変性すべり症分類システムの歴史

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