公益社団法人日本理学療法士協会は、2026年度(令和8年度)予算概算要求に向けて、厚生労働省、文部科学省、スポーツ庁、国土交通省、観光庁、経済産業省、外務省、こども家庭庁、農林水産省、法務省の10省庁に対し要望書を提出したと7月15日に報告しました。
要望書の提出は2025年6月から7月にかけて行われ、同協会の斉藤秀之会長が各省庁に直接手渡しました。佐々木嘉光副会長が同行しました。
各省庁への要望項目
厚生労働省(6項目)
- 医療・介護・福祉における理学療法士の確実な処遇改善
- 社会変化に適応した法・制度改正と理学療法の質向上に資する養成教育、研究・開発の充実
- すべての人の健康と疾病予防等に資する理学療法士の活用
- 医療・介護保険財源の安定化に向けた理学療法提供体制の充実
- すべての人々が働き続けられる社会と健康寿命の延伸に向けた予算の確保
- その他
文部科学省(7項目)
- 障害(発達障害を含む)に関する専門知識を有する理学療法士の文部科学省内への配置
- 理学療法士養成教育の更なる高度化の推進
- 各都道府県の教育委員会と連携した事業の展開
- 特別な支援を必要とする児童生徒への切れ目のない支援体制の強化
- インクルーシブ教育システムの更なる推進における理学療法士の活用
- 「令和の日本型学校教育」の実現に向けた教育環境整備における多様な専門職の配置
- 現代的健康課題に対応するための学校保健の推進に向けた理学療法士の活用
スポーツ庁(4項目)
- 障害に関する専門的知識を有する理学療法士のスポーツ庁内への継続的な配置
- スポーツにおける理学療法士の在り方と名称の使用
- 国民のライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツのさらなる振興
- スポーツを通じた地域の活性化および健康・福祉教育の充実
経済産業省(5項目)
- ヘルスケア産業の更なる強化に資する理学療法士の活用
- 健康増進およびヘルスケア産業に理学療法士が参画することによる経済効果の利活用
- 健康経営の更なる推進と理学療法士の活用
- ヘルスケア産業における介護政策の拡充と更なる発展
- 日本理学療法士協会の賛助会員と連携した医療機器のアウトバウンドに関する事業展開
国土交通省(3項目)
- 安全対策や自動車事故被害者支援に資する理学療法士の活用と配置
- 自動車事故被害者救済、事故防止・安全対策の推進等
- 高齢運転者等の新たな事故防止対策としての理学療法士の活用
こども家庭庁(3項目)
- こども家庭庁への理学療法士を含むリハビリテーション専門職の配置
- 産前・産後サポート事業における具体的な提案
- すべてのこどもに向けた発達・療育支援の充実
観光庁(2項目)
- 地域における理学療法士の活用と連携
- 国内交流拡大に資するユニバーサルツーリズムの促進に向けた環境整備
外務省(2項目)
- 国際保健戦略官室におけるリハビリテーション専門職の活用に向けた要件緩和
- 国際社会における我が国のリハビリテーションや理学療法の普及と促進
農林水産省(1項目)
- 地域資源活用価値創出推進・整備事業(農福連携型)への理学療法士の活用
法務省(1項目)
- 受刑者への運動機能維持向上プログラムに関する理学療法士の活用
職域拡大への期待
同協会は「引き続き政府ならびに関係省庁に対して予算や政策に関する提案や要望を行い、理学療法士の職域拡大や活用推進を図ってまいります」とコメントしています。
理学療法士の活用範囲は従来の医療・介護分野を超えて多方面に広がっており、今回の要望書提出により、さらなる職域拡大と社会貢献の機会創出が期待されます。
▶︎意見・要望書