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消費税補てん率104.9%の厚労省データに疑義 現場実感と乖離

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日本病院団体協議会(日病協)は2025年11月28日、都内で代表者会議および記者会見を開きました。同日開催された厚生労働省の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で示された診療報酬による消費税補てん状況の調査結果について、現場の実感と大きく乖離しているとして、さらなる詳細な検証を求める考えを示しました。

*背景知識:「控除対象外消費税」問題

医療機関は患者さんから消費税を預かりません(社会保険診療は非課税)。しかし、医療機器や薬剤、建物の建築費などには消費税がかかります。 この「払うけど貰えない消費税(=医療機関の自腹)」を補うために、国は診療報酬に少しだけ点数を上乗せしています。これを「補填(ほてん)」と呼びます。

「補てん状況104.9%」への違和感

会見の冒頭、望月議長は同日の分科会で厚労省から示された「令和7年度の補填状況把握結果(案)」について報告しました。厚労省のデータでは、病院全体の補てん率が「104.9%」と算出され、消費税負担に対して診療報酬での補てんが超過しているとの結果が示されました。

これに対し望月議長は、「4病院団体協議会(4病協)で行った調査データとはだいぶニュアンスが違う」と指摘しました。特に、国立病院(108.4%)や医療法人(118.2%)が高い補てん率を示した一方で、公立病院は「83.2%」と極めて低い数値となっている点に触れ、「平均病床数などの違いはあるものの、実感として(厚労省のデータは)現場の肌感覚とだいぶ違うのではないか」と疑問を呈しました。

また、高額医療機器(CTやMRIなど)の購入時期による消費税支払いのタイミングと、単年度での計算のズレが影響している可能性などについて言及しつつも、提示された数字の根拠が不透明であることから、継続的な議論の必要性を強調しました。

総-1-1控除対象外消費税の診療報酬による補てん状況の把握〈令和7年度〉

平均値ではなく「ばらつき」の検証を

この問題について神野副議長は、厚労省のデータが「平均値」のみで語られている点を問題視しました。神野副議長は、「全体の分布図が公開されていない。おそらく綺麗な正規分布ではなく、補填が過剰なところ(益税)と不足しているところ(損税)のばらつきが大きいはずだ」と述べました。その上で、「ばらつきがあること自体が税制としておかしい。税の問題は税で解決する(課税取引化など)のが大原則ではないか」と述べ、改めて抜本的な解決を訴えました。

質疑応答でも、記者から「厚労省は十分補てんされているとして対応しない姿勢だが、どう考えるか」と問われた際、望月議長は「提示された数字には正直びっくりしている。医療経済実態調査に回答した医療機関のみが対象であり、詳細なデータを検証しなければ一概に『補填されている』とは言えない」と回答しました。神野副議長も「平均値や中央値だけで判断するのはいかがなものか」と重ねて強調しました。

病院経営は依然厳しい状況

また会見では、福祉医療機構(WAM)のデータを基にした病院経営の現況も報告されました。2024年(令和6年)の速報値において、一般病院の58.3%、精神科病院の56.9%が赤字であることが示されました。  医療利益率についても、急性期一般病院でマイナス1.9%、精神科病院でマイナス2.5%と軒並み低下しており、経常利益率も急降下している状況です。

望月議長は「令和6年度の状況は極めて厳しい。病院が本当に潰れていく状況だ」と危機感を露わにし、次期診療報酬改定等に向けた対応の必要性を強く訴え、会見を締めくくりました。

消費税補てん率104.9%の厚労省データに疑義 現場実感と乖離

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