3月6日に開幕するミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックの日本代表に、理学療法士の国家資格を持つ選手が2名います。ノルディックスキー距離の有安諒平選手と、パラアイスホッケーの松下真大選手。臨床で培った知識を「自分の身体で勝つ」武器に変えた2人の挑戦を、同じ資格を持つ仲間として見届けましょう。
有安諒平——柔道、ボート、スキー。「三刀流」の理学療法士パラリンピアン
有安諒平選手(1987年生、株式会社東急イーライフデザイン/杏林大学医学研究科)は、15歳で黄斑ジストロフィー(指定難病)を発症し、視覚障がいクラスNS3で出場します。ガイドスキーヤーの藤田佑平とペアを組み、声と動きだけを頼りに雪上を駆け抜けます。
筑波技術大学で理学療法士資格を取得後、大学で約3年間の研究員勤務と病院・施設での臨床経験を積みました。現在は杏林大学医学研究科博士課程で神経生理学を研究中。東急イーライフデザインでは高齢者向け施設「グランクレール」等にPTとして関わりながら、競技優先の柔軟な勤務体制で練習と両立しています。
本人はインタビューで「トレーニングのハウツーや目指すべき身体の作り方も、理学療法士の知識によってよりわかることがある」と語っています。
その競技歴は「三刀流」と呼ぶにふさわしいものです。視覚障がい者柔道の強化指定選手(2014年)から出発し、ボートに転向して2018年世界選手権4位。東京2020パラリンピックには混合かじつきフォア(PR3)の日本代表として出場しました。その後わずか1年でクロスカントリースキーに転向し、北京2022パラリンピック男子20kmクラシカルで7位入賞。ミラノ・コルティナで夏冬3大会連続のパラリンピック出場を果たします。
2025年2月には本番会場ヴァル・ディ・フィエンメのW杯テストイベントに出場し、10kmインターバルスタートクラシカル男子視覚の部で10位(31分15秒1)の成績を残しています。
競技以外では「あすチャレ!ジュニアアカデミー」の講師として全国の学校で多様性・共生社会について講演活動も行っています。
松下真大——解剖学でスレッジを操る「氷上の格闘技」のディフェンダ
松下真大選手(1991年生、背番号7、ロスパーダ関西/株式会社ベリサーブ)は、パラアイスホッケー日本代表のディフェンダーです。2019年に競技を開始した比較的新しい選手ながら、急速に頭角を現しました。
理学療法士資格の保持は、所属企業ベリサーブが2024年7月23日に発表したプレスリリースで公式に確認されています。同リリースには「理学療法士の資格を持ち、解剖学や運動学の知識・理論をトレーニングに生かしている」と明記されました。
パラアイスホッケーは上半身のみで推進・シュート・ボディチェックを行う競技です。筋肉の付き方や関節可動域を理論的に理解するPTの知識は、スレッジ操作やスティック捌きの最適化に直結します。
2023年世界選手権B-pool(アスタナ)で金メダル、2025年同大会で銀メダルを獲得。日本代表は2025年11月のノルウェー・エスハイム最終予選で1位となり、パラリンピック出場権を勝ち取りました。2026年1月12日の日本パラアイスホッケー協会理事会で18名の代表に正式内定。ミラノ・コルティナが松下選手にとって初のパラリンピックです。
競技日程・視聴ガイド
ミラノ・コルティナ2026パラリンピックは2026年3月6日(金)〜3月15日(日)の10日間開催。イタリアとの時差は8時間(日本が先行)です。
パラクロスカントリースキー(有安選手)
会場:テーゼロ・クロスカントリースキー・スタジアム(ヴァル・ディ・フィエンメ、標高830m)
競技期間:3月7日〜14日(計20メダルイベント)
有安選手のクラスNS3は視覚障がいカテゴリーに該当し、ガイドスキーヤーとともに競技します。メダルはガイドにも授与されます。
パラアイスホッケー(松下選手)
会場:ミラノ・サンタジュリア・アイスホッケーアリーナ(ミラノ市内)
日本はグループA(カナダ、チェコ、スロバキアと同組)。予選日程は以下の通りです。
- 3月7日(土)10:05 vs チェコ(日本時間 同日18:05)
- 3月9日(月)20:35 vs カナダ(日本時間 翌4:35)
- 3月10日(火)20:35 vs スロバキア(日本時間 翌4:35)
決勝トーナメントは3月12日〜15日。金メダル決定戦は3月15日(日)16:05(日本時間翌0:05)。
日本は2010年バンクーバー大会で銀メダルを獲得した実績を持つ強豪です。
TV放送・配信
NHKがパラリンピック専用ページを開設済みで、NHK総合・Eテレ・BSでの放送とNHK ONE(旧NHKプラス)での配信が見込まれます。ただし、パラリンピックの詳細な放送スケジュールは2026年2月7日時点で未発表です。
同じ国家資格を持つ仲間として、声を届けよう
SNSで #MilanoCortina2026 #PTパラリンピアン をつけて、2人に応援を届けましょう。同じ資格を持つ仲間からの声を、氷雪の舞台へ。
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