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ICTを利用した脳血管内治療における遠隔指導システム「DxDoor Neuro」を共同開発

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■概要

順天堂大学(東京都文京区、学長:新井一)と株式会社ベーシック(東京都新宿区、代表取締役:奥田克彦)(以下、ベーシック)は、順天堂大学医学部脳血管内治療学講座および脳血管内治療学研究センター(大石英則 教授兼センター長)において、順天堂大学が展開するオープンイノベーションプログラム「GAUDI」※1と協働し、ベーシックが保有する ICT技術を利用した遠隔指導システムを基盤とした、脳血管疾患に対するカテーテル治療である脳血管内治療に特化した実践的な遠隔指導システム「DxDoor Neuro」を開発しました。

本研究のポイント

・遠隔指導システム「DxDoor Neuro」を共同開発

・遠隔地にいる若手医師への指導ができるシステムの構築

・遠隔地で参加している複数医師間のコミュニケーションを円滑に行えるペンツールやチャット機能等を追加搭載し、脳血管内治療に即した、利便性を向上

■背景

脳血管内治療は、脳梗塞、クモ膜下出血など脳卒中を引き起こす脳血管疾患を対象とし、経皮的にカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入する治療法です。従来の手術とは異なり、頭部を切開せずに治療を行う低侵襲治療で、患者さんの予後を大きく改善できる治療法の一つとして期待されています。

 

日本脳神経血管内治療学会は、脳血管内治療の普及を目指して専門医制度を設けており、2021 年時点で全国に約1,800名の専門医、約400名の指導医が認定されています。しかし、専門医・指導医の人数とその配置は必ずしも充足しているとは言えず、地域や医療機関毎に脳血管内治療の質に大きな偏りがあるという現状が問題視されています。

 

そこで、経験豊富な脳血管内治療医が、遠隔地にいる脳血管内治療の初心者や若手医師への指導ができるシステムを構築し、脳血管内治療の質の向上を推し進めるためにベーシックが持つ遠隔指導システムを基盤としたシステムの開発に着手しました。

■開発の経緯と内容

ベーシックの遠隔指導システムは、大きなタイムラグなく画像・音声を双方向に伝送することが可能で遠隔地間の技術指導のコミュニケーションを図ることを目的に開発されたものです。

 

共同開発にあたっては、大石教授の着想・構想を基に脳血管内治療におけるシステムの要件整理をGAUDIおよびベーシックで行い、必要な機能開発を行ったうえで、順天堂大学医学部附属病院群(順天堂医院、浦安病院、静岡病院、練馬病院)での実証検証を実施しました。

 

この実証検証では、順天堂医院にいる指導医師が他の附属病院に在籍する若手医師に対して、脳血管内治療の血管撮影画像と音声の共有を行いながら医療技術指導を行う際に、指導者と術者がコミュニケーションを遅滞なく図れるかなどにより、システムの有効性の評価を行いました。また、本検証は、検証時の通信が病院内の他の医療機器への影響がないことなど、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00002.html)や個人情報保護法準拠などの面での確認も行いました。これらの実証検証の結果を踏まえ、治療内容によって、画像の解像度や音声の品質を迅速かつ適切に変更できる機能を追加することで、通信環境が良好とは言えない環境においても、安定的に、遅延なくコミュニケーションをとることが可能なシステムに改良することができました。

また、複数の血管撮影画像から指導に必要な画像を選択し表示させる機能や、共有している画面上で使用できるポインタ機能、遠隔指導にリモート参加している複数医師間のコミュニケーションを円滑に行えるペンツールやチャット機能等を追加搭載し、脳血管内治療に即した、利便性の高いシステムとして「DxDoor Neuro」を開発しました。

 

〈遠隔指導システム構想図〉 

〈研究開発体制図〉

■今後の展開

「DxDoor Neuro」の活用により、脳血管内治療の質的向上、医師の地理的偏在による地域格差の解消、若手医師の育成などの課題解決への貢献が期待されます。また、脳血管内治療における新規治療機器の導入時に多く行われる 「プロクターシップ」※2における、利活用も期待できます。

 

今回の「DxDoor Neuro」は、GAUDIの、医師と企業との間の円滑なコミュニケーションサポートにより、実証検証が進み社会実装が実現しました。順天堂大学では、今後もGAUDIを基軸におきながら数多くのシーズ実用化に向けて、研究開発支援を展開していきます。

<「DxDoor Neuro」※3 2022年5月発売予定>

 

〈遠隔指導システム「DxDoor Neuro」概要〉

血管造影画像をリアルタイムで指導医に伝送

音声とアノテーションで相談・助言を得る

※1 順天堂大学オープンイノベーションプログラム「GAUDI」について  

Global Alliance Under the Dynamic Innovationの頭文字を取り命名された順天堂大学のオープンイノベーションプログラムです。

https://gaudi-juntendo.jp/  「GAUDI」は、日本に限らずグローバルな視野を持ちながら、ライフサイエンス分野における研究開発を促進し、企業や研究者の開発シーズやアイデアが効率よく社会実装されることに貢献することを使命とし、順天堂大学および6附属病院の多岐に渡るリソースを基盤として産学官連携による支援を企業や研究者の皆さま(会員)に提案しています。 

今回の取り組みは、「GAUDI」による実証検証の設計や各署連携関係構築などの支援により、GAUDIの企業会員である株式会社ベーシックのICT技術を活用して、順天堂大学医学部脳血管内治療学講座および脳血管内治療学研究センターのニーズが実用化に繋がった事例となります。

※2 新規手術手技導入を目的とした経験豊富な医師による技術指導・教育

※3 DxDoor Neuroに関する詳細はこちら「https://dxdoor.basic.co.jp/neuro/

詳細▶︎https://www.juntendo.ac.jp/news/20220602-04.html

注)プレスリリースで紹介している論文の多くは、単に論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎません。論文で報告された新たな知見が社会へ実装されるには、多くの場合、さらに研究や実証を進める必要があります。最新の研究成果の利用に際しては、専門家の指導を受けるなど十分配慮するようにしてください。

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