実習は試練?
ー 今って、実習は「試練」のような印象を持っている学生が多いんではないかと思います。
古澤先生 結局は机上で学んだことを現場で活かすのが実習だと思うんです。
手があんなに曲がっている人なんて見たことないですし.拘縮で手足が動かないのも、授業では写真でしか見たことない。
だから「実習」は、今まで学んできたことを理解するための場所だと思います。
4年次の実習と、3年次の実習と、2年次に行う実習と、現場を知らないで座学する場合と、現場を見たことがある場合では圧倒的に授業時の理解力も違います。
それを、臨床側(教える側)がちゃんと理解できているのかどうかです。
臨床側は、学生さんがどこまで学んできているのかを把握して、何を見せ、触らせ、感じてもらうかを判断しなければなりません。
障害というのは家族や経済社会まで巻き込むほど、他者の人生にまで影響してくるので。本人だけじゃないんです。
そんな簡単なことではありません。
あと大事なのは、学生さんが患者さんに介入した際に、どう変わったか必ず結果を残すことです。
その変化が学生さんにとって喜びでもあるし、悔しさにもなるだろうし。今後臨床を経験していく上で貴重な体験ですからね。
地域包括ケアにおいて必要なこと
ー 先生は地域包括ケアに関しての取り組みもされていると聞きました。
古澤先生 我々の市には13個の地域包括ケアセンターがあるんですが、そこが集まって今活動しています。
理学療法士という職種は、病院の中でリハビリテーションを行う専門家であるという認識は持っていただいています。
ただ最近、我々の市では、「何が出来る療法士なのか」といったところが大事で、この先生は○○に強いとか、他職種に対して、我々が出来ることをアピールしていかないといけないような状況になってきていると言えます。
治療者としてエビデンスとかとは別に、確固たるものがないといけない。
理論的な側面だけでも失敗するし、情緒的な側面だけでも失敗するんだとは思いますし、その2つのバランスが大切だと思います。
ー 地域包括ケアに関して現在の問題点はなんだと思いますか?
古澤先生 まず人が足りないです。
市の人口が33万人、それに対して我々は現在50人です。もっと小さいクリニックですとか、福祉施設で働く理学療法士に積極的に参加してもらいたいと思っています。
とにかく今は、限りある資源の中でやれることをやり、活躍していく事が必要です。
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古澤 浩生先生経歴
平成7年リハビリテーション天草病院入職
平成22年リハビリテーション天草病院リハビリテーション部副部長
平成27年リハビリテーション天草病院院長補佐 リハビリ事業本部部長
埼玉県理学療法士連盟副会長
越谷市リハビリテーション連絡協議会会長
IBITA/JBITA国際ボバースインストラクター