チリのリハビリテーション
¡Hola! ¿como está?(やあ、元気ですか?)
まず皆さんは、チリと聞いて何を思い浮かべますか?
南米の縦長の国・地震の国・銅・サーモン・ワイン・サッカーでしょうか?
南米なので治安が悪い・貧しい・開発途上国などと考えているでしょうか?
簡単にチリの説明をすると、他の中南米諸国の中でも、識字率が約97%(世界銀行2011より)と教育水準は高く、女性の社会進出も進んでいます。
経済成長も著しく国民の平均所得も中南米の中で高いレベルにあり、中進国から先進国への仲間入りが近づいていて、南米の他の国へ援助を行うなど様々な面で南米を引っ張り先頭に立っていこうとしている国です。
医療面に関しては、首都では先進国と何ら変わりのない医療レベルにあり、近隣国から専門的な医療を受けに来る方もいるくらいです。
しかし、問題点として「格差」が大きくあり、特に収入面や経済面で都市部に比べ田舎では、金銭的に厳しい生活を強いられている人も少なくありません。
また、医療面では、高齢化社会が進んできており、日本と同じ問題を抱えています。
一方で、チリでの一般的な日本のイメージは、規律を重んじる・賢い・科学技術の発展(電化製品)や車などの製品で良く知れ渡っており、また地震や津波などの自然災害で同じ問題を抱えている事、アニメが広く知われており、日本人に対して尊敬と深い関心を持たれています。
チリの医療事情とは?
チリでは以下の通り、たくさんの医療専門職が働いています。
PT,OT,ST、医師,看護師,栄養士,足の専門職(爪切り・皮膚治療などの足のケア),准看護師,臨床心理士,社会福祉士,婦人科の専門職,歯科医が病院や診療所で働いています。
日本と似た職種が働いていると思います。
私の職場には、OT・STはいません。地域毎にこの人数や職種には差があります。
学問的なレベルですが、チリでは教育制度も整備されており、大学で専門の勉強をして働きます。
各職域の専門性も高く、仕事内容・治療・介入内容が確立されています。更にどの職種も乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に対応しています。
大きな問題点としては、地域格差があることです。
診療所は市の運営になりますが、レントゲンがなく専門の検査を隣町の病院まで行かなければならない。車が壊れて修理ができないため訪問診療ができない、など専門職がいても金銭面などの物理的環境の問題で十分なサービスを受けられない環境にあります。
また、国からの援助も少ない為環境整備が進まない事も言われています。しかし、他の開発途上国に比べると環境としてはかなり整っていると言えるのでないでしょうか。
日本とさほど変わらない医療技術
病気の種類、対象者の症状・状態によって受診の場所が変わってきますが、一般的な受診手順は以下の通りです。
最寄りの診療所→病院→専門病院(高度・専門医療)となっています。
まずは、何かあれば最寄りの診療所に相談します。診療所までの治療・薬・注射代等の費用は無料です。
しかし、より専門的な検査・診断・手術・治療が必要な場合は病院への受診になり、そこでの診療からは有料になっていきます。
チリでは作業療法の歴史が浅く、まだ人数も少ない状況で配属先には作業療法士はおらず、作業療法の普及・啓発活動を目的に活動を行っています。
チリに来て驚いたのは、日本とさほど変わらない医療・技術がそこにある事でした。
また、1年目からベテランのようなふる舞いで堂々と働いている姿を見て驚きを隠しきれませんでした。
*目次
【Vol.1】チリの医療事情
【Vol.2】リハビリテーション教育の特徴
【Vol.3】リハビリテーションの対象者・セラピストの働き方
【Vol.4】リハビリテーションに関わる住宅環境・福祉サービス
池本英哲先生 経歴
経歴
1982年生まれ 埼玉県出身
健康科学大学卒
2008年 作業療法士免許取得
医療法人社団富家病院で作業療法士として、回復期リハビリテーション,療養型,特殊疾患病棟,透析,訪問リハビリテーション,デイケアなどの領域で7年勤務
現在:2015年3月より青年海外協力隊としてチリ共和国に派遣。作業療法の普及活動と啓発活動を行っている。
連絡先:Facebook 池本英哲 pond.book1026@gmail.com まで