糖尿病や高血圧予防に「ポケモンGO」
今、世界を圧巻しているポケモンGO、皆さんはもうプレイされただろうか?
アメリカでは既にピーク越えと言われ、私の周りでもアンインストールをする人が続出しているが、私の中では未だ衰え知らず。
ついにフシギダネのアメを100個手に入れて、フシギバナに進化させた時は、とても感慨深いものがあった。
3000本安打達成間近のイチローさんは、「確かな一歩の積み重ねでしか、遠くへはいけない」と言っていたが、まさにこれのことだと思った。
そんなポケモンGOだが、運動効果や活動を促すという意味でもかなり注目されている。
こんな報告がある。
10~69歳の男女615人を対象に実施した調査によると、スマホ向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の利用者の5割超が「運動する機会が増えた」と回答し、ポケモンGOで人々の生活に変化が出ていることが分かった。
(http://this.kiji.is/131319878639353860?c=39546741839462401)
確かに筆者もこないだ「ピカチュウをGETしに新宿御苑に行こう」と思い、たまたま近くで用事があったため足を運んだ。
そこにはポケモンマスターを目指すライバル達が多くひしめき、若い人に混じって年配の方もモンスターボールを投げている姿がみられた。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病予防にポケモンGOを活用するのはありだと、療法士なら当然考えることであろう。
「1日どれくらい歩けばいいの?」
少し話は飛ぶが、上記の質問を患者さんや利用者さんに聞かれて、即答できず困ったことはないだろうか。
「健康日本21(身体活動・運動)」
生活習慣病と歩行に関する論文は多く存在するが、今回は厚生労働省が提唱している「健康日本21」を紹介しようと思う。
健康日本21は、新世紀の道標となる健康施策、すなわち、21世紀において日本に住む一人ひとりの健康を実現するための、新しい考え方による国民健康づくり運動である。 これは、自らの健康観に基づく一人ひとりの取り組みを社会の様々な健康関連グループが支援し、健康を実現することを理念としている。
出典:厚生労働省
これには、「栄養・食生活」や「こころの健康」、「たばこ」、「アルコール」などに関しての、現状や目標、対策などが記載されており、療法士の皆さんも一度目を通しておくといいかもしれない。
その中の一つ「身体活動・運動」には、生活習慣病予防に関する内容が記載されており、その中から一部抜粋させて次に紹介する。
■日本人の歩数の現状では、1日平均で、男性8,202歩、女性7,282歩であり、1日1万歩以上歩いている者は男性29.2%、女性21.8%である(平成9年度国民栄養調査)。
最近10年間の歩数の増加傾向を考慮して、当面10年間の目標として、男女とも歩数の1,000歩増加を目指し、1日平均歩数を男性9,200歩、女性8,300歩程度を目標とする。1,000歩は約10分の歩行で得られる歩数であり、距離としては600〜700mに相当する。
■ 運動習慣は頻度、時間、強度、期間の4要素から定義されるものであるが、国民栄養調査では運動習慣者を「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている者」としており、男性の28.6%、女性の24.6%である(平成9年度国民栄養調査)。
最近の運動習慣者の増加傾向から、この頻度を10%増加を目指す。
■平成10年度体力・運動能力調査報告書によれば、体育の授業以外に運動やスポーツを週に3日以上実施している児童・生徒の割合は、10歳男子で53.8%、女子で35.0% 、13歳男子で84.8%、女子で67.4%、16歳男子で55.4%、女子で40.5%となっており、特に小学生や高校生において運動時間が不足していると考えられる。
■我が国のテレビ(テレビゲームも含む)視聴時間が1日3時間以上の児童・生徒の割合は、10歳男子38.7%、女子38.6%、13歳男子37.2%、女子32.2%、16歳男子25.2%、女子24.2%と報告されている。同調査は、テレビの視聴時間が長いほど体力の低い傾向があることも示している。
■日常生活の中で買物や散歩などを含めた外出について、60歳以上では「自分から積極的に外出する方である」とする者は男性では59.8%、女性では59.4%である。この割合は年齢が高くなるにつれて低くなり、80歳以上では全体で46.3%となる(平成11年「高齢者の日常生活に関する意識調査」(総務庁))。
■何等かの地域活動へ「参加している」者は、60歳以上の男性では48.3%、女性では39.7%である(平成10年「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」)。
また、参加している活動のなかでは、体操、歩こう会、ゲートボールなどの健康・スポーツサークルが最も多く、男性21.2%、女性15.8%である。
■70歳以上の高齢者における1日あたりの平均歩数の現状は、平成9年では男性が5,436歩、女性が4,604歩であり、平成元年からの9年間に男性では約1,200歩、女性では約1,300歩増加している。
そこで、今後10年間で70歳以上の者における1日当たり歩数の男女とも1,300歩増加を目指し、1日の平均歩数を男性6,700歩、女性5,900歩程度とすることを目標とする。
高齢者にとって1,300歩は約15分の歩行時間に相当し、距離としては650〜800mとなる。
レアポケモンをGETせよ!!
と、ここまで基準をつらつら述べてきたが、実際は歩く目的がないとなかなか「活動」と「参加」まで促せないものである。
ここで、再びポケモンGOの話に戻すが、ポケモンGOには、ある一定の距離を歩くと孵化してポケモンが生まれる、タマゴがある。
中でも、10km歩くと孵化するポケモンは、カビゴンやプテラ、ラプラスなどのレアポケモンが生まれてくる。
さっきの基準によると、高齢者男性は、1日平均歩数を9,200歩を目標とし、1,000歩は約10分の歩行で得られる歩数であり、距離としては600〜700mと書かれている。
この値から計算すると、1日あたり約4km歩くことを目標と置き換えられる。
仮にこのペースを継続すると2.5日でレアポケモンがGETできる計算になる。
「あれ、けっこう簡単かも…」と思った君はまだ甘い。
このポケモンのタマゴは、ポケストップで入手できるが10kmで孵化するタマゴはなかなか手に入らないのだ!
…なにはともあれ、ぜひこの値を参考に、ポケモンマスターへの道を健康的に目指してもらえればと思う。