高血圧と聞くと、脳血管疾患、心疾患、腎不全のリスクファクターとして、有害なイメージが強いのではないだろうか。
しかし、高血圧が年齢によっては認知機能の維持・改善に貢献する可能性が、米カリフォルニア大学アーバイン校神経学・疫学教授のMaria Corrada氏らの研究で示唆された。
80歳以降の高血圧は認知機能を保護する可能性
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■今回の研究では、90歳以上の対象者559人を3年近く追跡調査した。研究開始時、対象者に認知症は認めなかった。血圧の推移を確認し、6カ月ごとに認知症について評価したところ、追跡調査中に40%が認知症を発症した。
■高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上)を80歳以降に発症した人は、90代で認知症を発症する可能性が正常血圧の人に比べて42%低かった。また、90歳以降に高血圧を発症した人は、認知症を発症する可能性が高血圧を認めなかった人よりも63%低かった。この関連性は、患者が降圧薬を服用していても変わらなかった。
高血圧は、血管壁の柔軟性低下などにより、年齢上昇に準じて増加する。
高血圧治療診療ガイドラインによれば、2010年に70代男性の約80%、女性で約71%が高血圧であると言われている。
その高齢者に多い高血圧が、認知症の発症リスクを軽減させるといった、想像に反する研究結果であった。
その一方で、高血圧治療診療ガイドラインでは、心疾患病死亡の約50%、脳卒中の罹患原因の50%以上が、高血圧が起因するといった報告もある。
さらには高血圧である75歳から89歳の後期高齢者と心血管病死亡リスク、脳梗塞、脳出血死亡リスクは、関連があると報告されているのも事実だ。
血液循環量の増加による恩恵か、認知症の発症を減少させる可能性があるという肯定的な側面もあるものの、それを取り囲む様々なリスクを無視することはできない。
文責 POST編集部 林・渡邉
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