成瀬文博先生
理学療法士、株式会社エブリハ代表取締役、神戸女子大学非常勤講
前のページ>>日本理学療法士学生協会を立ち上げた理由
私の仕事は特別な機械は必要ない
―― バイト生活のその後、どのような活動をされていたのですか?
成瀬先生 訪問リハのバイトも増えていた頃、知り合いが訪問看護事業所を立ち上げ、新たに私も加わることとなりました。そんな頃、先輩が高齢者施設に出向き、運動の処方箋を作り指導する仕事をしており「お前も行ってみるか」とお誘いいただきました。
それから週1回京都から高知に通う生活が始まりました。評価をして運動処方箋を作り、それを施設の人に頼んで利用者にやっていただく。再訪問の際に、新たに評価をして、修正するサイクルを仕事として始めました。
その仕事の収益が月3万ほどあり、そのほか訪問で月30~40万くらいの稼ぎがありました。徐々に口コミによって広まり、数珠繋ぎのように仕事の量も範囲も増えていきました。それが理学療法士4年目くらいの出来事です。
―― いつ法人にしたのですか?
成瀬先生 3年ほど前です。いままでのような形では、労働集約産業ですので、一人で稼げる金額が2000〜3000万で頭打ちになり、体も使わなくてはならず、限界が見えてきたところで法人にしました。
これを海外でも広めていきたいと考えています。しかし、日本ありきで考えており、両方とも進めていこうと思っています。
私の仕事は特別な機械が必要なのではなく、評価を正しく行うことで、効果的で根拠のある運動療法を提供することができます。
どこでも、誰でもやれる方法をそんなに裕福ではないアジアの地域に普及させることができるのではないかと考えています。アジア圏の貧困層の地域に、輸出できるのではないかと考えています。
私たちは、そんな時代に欠かせない人材だ
―― 今後海外にはいつごろから出ていく予定ですか?
成瀬先生 二つ出る方法があります。一つ目は、自分たちの資本力で海外にモデルとなる施設を運営するか、二つ目は、海外に介護施設を運営するために進出する企業とコラボレーションすることです。
今まで、海外進出を目指す施設は、数えるほどしかありませんでしたが、私たちは、施設のソフトを提供していますので、海外進出企業が持っていない分野を私たちが担うということが出来るのではないかと考えています。
さらに2〜3年経てば、動き出すはずですので、様子をうかがっています。
―― 人材は不足していますか?
成瀬先生 本業のほうが足りていない状態です。少し前までは、デイサービスがたくさん開設されて、多様なサービスの提供が行われてきました。
最近では、提供するサービスの質の向上が求められていますが、「私たちは、そんな時代に欠かせない人材だ」ということを少しずつ提案していくことで、一緒に仕事をする施設が増えてきました。
機能訓練や介護施設への業務効率化のアドバイスなど、様々なニーズに応えているうちに、現在のスタッフだけでは限界を感じはじめています。それ以外のアドバイスを行うなど、様々なニーズにこたえていると、我々3人だけでは少し限界を感じはじめました。
現在、デイサービスのスタッフにリハビリテーションや機能訓練の教育を行なっている最中です。人材教育を行うことは、私たち理学療法士の知識や技術を様々な職種に共有し、それを理解し、簡単に実践してもらえるようになれば、世の中に元気な方が増えるのではないかと考えています
一緒に働きたい人材は?
―― どういう人材なら一緒に働きたいと思いますか?
成瀬先生 あきらめない人です。すぐに諦める人は物事を深く検討しない傾向があります。その場合、対象者の評価が正確にできなくなります。例えば、別の人が評価をすると、評価結果が変わってきますよね。今寝たきりであっても、「もしかしたら何かのきっかけで、座ることができるのではないか」という様に、あきらめずに考えることができる人材は大切です。
あとは向上心です。わからないことが見つかり、自ら調べ、どうやったらうまくいくのか、トライできる人ではないと難しいですよね。次の4人目の仲間にはそれが求められます。
5人目くらいには守りの人間がほしいのですが。
―― 先生にとってプロフェッショナルとは
成瀬先生 常に向上していくこと。あきらめない。ずっと変わり続けれる人です。