日米の学会に参加して感じたのは「情報発信力」の違い
日本でも年に一度、日本作業療法学会が開催されますが、本年度の大会が第51回であり、アメリカと比べても歴史が浅いです。今後日本の作業療法がより良い発展をしていくために、リハビリ先進国とされる米国に目を向けることも大切な視点だと感じました。
(Photo:学会の開会式の様子)
日米の学会に参加してみて感じた違いの一つとして「情報発信力」が挙げられます。
ポスターセッションでは、「Do you have any question?」と発表者側から声をかけられます。およそ2時間ほどのセッションの中で、絶え間なく議論が交わされていました。ポスターを見た参加者が情報を得るだけではなく、新たな視点や意見を得ることで研究を発展させられるという意味で発表者にも有意義な時間であると感じました。
また、日本の学会の雰囲気に比べ質問をしたり発表者に話しかけることのハードルがとても低いように感じました。聞く側・話す側がお互いにより主体的な姿勢であったと思います。
情報の発信は作業療法士の間だけでなく、外への発信も大切です。
米国の作業療法学会では、wifiが完備されていたり非常に盛大な開会式が開かれるなど、規模の大きな学会となっていますが、それを実現できる理由の一つにスポンサー企業の存在があります。
※スポンサー企業に関する展示
作業療法士がやっていることを客観的に示していくことで、企業側の作業療法に対する理解が進み、企業の活動に貢献するなどお互いにいい関係が生まれるのだと考えます。
作業療法はADL、仕事、遊び、休息といったあらゆる「作業」を遂行できるようにすることを目的としています。
身体機能だけではなく、主観的な精神面や心理的な側面も取り扱うため、変化が目に見えないことも多く、非常に複雑な学問であると言えます。そのため、情報の発信が難しいという側面もあります。
しかし、今回米国の作業療法学会への参加を通じて、研究などの手段を用いることで「情報の発信」をしていくことの重要性を実感しました。
日本の作業療法も100周年に向けて更なる発展をしていけるよう、一人の協会員として研鑽を重ねていきたいと思います。