対症的にしかアプローチできていなかった
理学療法士(PT)の免許を取り臨床に出てから数年、自分のセラピーによる一時的な改善に患者さんが喜んでくれるので私自身も大きな喜びを感じていましたし、自分に対しても浅はかな過信をしていました。
しかしながら、4年ほど経った時、目の前にいる患者さんの症状を対症的にしかアプローチできず、長期的な効果を挙げられる知識と技術が自分にないことに気が付きました。
そして根本的に患者さんの症状をよくできない自分の無力さを感じました。
自分なりに知識と技術の向上に努めましたが、いくら教科書やジャーナルを読んでも、勉強会に参加しても、その無力感は拭い切れませんでした。
そして自分の中で、自分が日本で勉強できる範囲には限りがある、という結論に達しました。
それ以降「英語の壁により得られない海外の知識を知りたい。特にアメリカだ!何故なら著名人やプロスポーツ選手はわざわざリハビリを受けにアメリカまで行くではないか!アメリカに行ってやる!そして実力をつけて患者さんの役に立ちたい!」という気持ちに掻き立てられるようになりました。
このことがアメリカ大学院留学を決意した1つ目のきっかけです。
痛感した理学療法士の発言力の弱さ
そして、臨床経験を経た者が最先端の知識を把握し、そして更なる躍進のための研究に専念するPT専門のPhDプログラムの存在を知った時に、留学は自分の中で必ず果たさなければならないものとなりました。
2つ目は社会的信用です。
結果的に8年半日本で臨床をしてアメリカに渡米することになるのですが、その間における社会経験で、医療の世界におけるPTの発言力の弱さを痛感していました。
「何を言うかではなく誰が言うか」、つまり医師が絶対的な存在です。
医師と比較しての圧倒的な教育レベルと学位水準の違い、そういった所が発言力に影響していることは簡単にわかっていました。
しかし我々は患者さんを助けるための医療チームの一員であり、医師に対しても必要な時は我々の専門的知識を武器に決定的な意見が言えるようになる必要があるとも感じていました。
何故なら我々はには運動学の知識や実際の徒手技術など医師の専門外の武器があるのだから。
しかし常に相手の顔色を伺ってしまい思い切った自由な発言ができない状況と、せせこましいと感じてしまうPTの立場に対してどうしたらよいものかと自問自答していました。
そしてこのことを解決して医師とも対等に話せるようになるためには分かりやすいモノが必要だと感じました。
それ対する私の結論はPT先進国アメリカにおける最高学位を取ることだったのです。
現在4年アメリカにいますが、日々新しいことが学べ、とても満足しています。
青柳 洪作先生プロフィール
職歴
2015.8~:カンザス大学メディカルセンター
Research Assistant in Clinical Orthopedic Rehabilitation Research Laboratory
研究プロジェクト:
STRUCTURAL BRAIN IMAGING IN PEOPLE WITH LOW BACK PAIN
The use of Yoga for Lumbar Spine Post surgery Management Teaching Assistant in Doctor of Physical Therapy Program
役割:テクニカルアドバイザー、非定期レクチャラー 担当科目:整形外科系リハ I、II、III、中枢系リハ II、Evidenced-Based Practice
学歴
2005.3独立行政法人 仙台医療センター付属リハビリテーション学院 卒業
2010.2:保健衛生学(理学療法) 学士取得
2015.5:イリノイ大学シカゴ校卒業・修士取得