ミオシンとアクチンの関係性に新たな見解が発見された。
この研究では、筋が効率的に力を出すメカニズムを詳細に解明。筋線維内に含まれる多くのミオシンフィラメントが共同して同一方向に働き“熟練した綱引きチーム”のように作用するようだ。
東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の茅助教らは、ミオシン約20分子程度がアクチン1本と相互作用できるミニフィラメントを合成し、相互作用するアクチンにビーズを固定し、その動きからミオシンの力と分子の動きを測りました。
その結果、生理的条件のATP濃度でアクチンが5nm前後の幅でステップ状に変化している様子を捉えることに初めて成功し、特に高負荷におけるステップは、エネルギー効率の観点から複数のミオシン分子がほぼ同調して力を出さないと起こり得ないものでした。
筋収縮とは、興奮インパルスの伝播により横行小管(T管)内のカルシウムイオンが細胞内に放出される。
カルシウムイオンがアクチンに結びついたトロポニンと結合することにより、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが繋がって離れるを繰り返し、アクチンフィラメントが移動する事で、Z帯同士(サルコメア)の距離が縮むことで筋収縮が起こる。
(参考:運動生理学20講 朝倉書店)
ミオシンフィラメントは、約300のミオシン分子から構成され、それらが集団として力を発揮する特性があるのではないだろうかとの疑問から今回の研究が行われた。
筋収縮時に発生する仕事量がミオシン1分子の発生させられる仕事量を超えていることから、共同して動いていると証明された。
元々各分子は、負荷がかかっていない場合ランダムに作用する。負荷がかかるとアクチンと結合しているだけの力を出さないミオシンフィラメントが増える。
その後、力の均衡が破れアクチンフィラメントが動き出すと、そのミオシンフィラメントが一斉に働き始めるため、共同して働いている結果になるようだ。
人体のミクロな機能は、日々解明され更新されている。新しい事実を常に取り入れる心がけをしていきたい。