Woman2

第二回:「痛みはどうですか?」と聞き続ける言葉のバイアス【畿央大学大学院|理学療法士 今井亮太先生】

3814 views
Regist free member

 

痛みとは何か

― 結局痛みって何なんでしょうか?

今井先生 私自身まだ分かりません。笑 簡単に強くなったり、弱くなったり、環境によっても大きく変化する面倒くさいものでしょうか。笑

 

例えば、過去の体験や誰かの言動、テレビの情報から「なかなか治らないものだ」「動いてはダメだ」というバイアスが大きく関係している気がします。もちろん臨床上、動かしてはダメなケースもありますが、運動しなくなり引きこもるような生活になるのが、一番ダメですね。

 

実際、痛みというのは神経的に、そこまで大きなものではないのではないかと思っています。性格的に「大丈夫」と、思える人の方が良くなっていくイメージがありますね。

 

― 臨床で注意していることはありますか?

今井先生 臨床上気をつけていることとしては、「痛みどうですか?」と、むやみやたらに聞かないようにしています。セラピストは、何かと「痛みどうですか?」と聞いています。

 

私たちの本来の目的は、痛みを治療する仕事ではなく、運動機能、ADLを向上させるように仕事をしているので、極端に言えば、運動機能やADLが良くなって日常生活や仕事ができていれば、そこに痛みがあってもいいわけです。

 

痛みのスケールで、満点(100/100)だと良くないですが、痛みが20(20/100)ぐらいであれば、今日あっても明日は無いかもしれません。必要以上に「痛みどうですか?」と聞くことで、患者さんは「痛みが治らないと帰れない」となります。その原因を作っているのが、実はセラピストなのではないかと思っています。

 

― 今井先生は、どのように聞きますか?

 

今井先生 私の場合は、「調子はどうですか?」と聞くように心がけています。基本的には相手に痛みへの注意が向きにくいように気をつけています。痛みのマネジメントというものを、初期の段階から心がけています。それが今のスタンスですね。

 

― 1年目や2年目の時はどうだったんですか?

 

今井先生 めちゃくちゃ聞いていました。笑 痛みの学会で、いろんな先生の話を聞いていく中で、現在のスタイルになったのだと思います。

 

― オーストラリアでは臨床心理士が入っていっているらしいですね。(痛みの治療)PTもADL指導などがメインで、患者に触らないことがほとんどだと聞きました。

 

今井先生 そうなんですね。日本の外来では、ガンガン触っていますよね。

 

僕は急性期の患者さんに、「最初から痛みはゼロにはならない」と伝えることがあります。

 

患者さんは1ヵ月もすれば痛みがなくなると思っている人が多いので。結局、痛みは主観なので、最終的には「ない」と思っていたらないかもしれません。急性期なので術後は、絶対に痛いと思います。その後の痛みは、その人の心理状態にもよると思います。

 

「痛くても仕事復帰したいから帰る」というような人も、VAS計測すれば実は高いこともあると思いますが、それは問題なかったりするわけです。

 

逆に、「あと10(10/100)の痛みが残っているんです」と、言ったりするような人たちが、「最初から痛みはゼロにはなりませんよ」と伝えておくことで、よくなるケースもあります。「痛みは絶対なくなりますよね」と言っているような人は良くならない傾向です。

 

― 逆に日常生活で動かしているほうが痛みが良くなったりすることもあるんですか?

 

今井先生 そこも痛みのマネジメントだと思います。どんな痛みがだめなのか、どこが痛くなるのかだめなのかを伝えておくことで、良くなることがあります。

 

逆に、マネジメントしておかないと、増悪します。痛みのマネジメントをしておくと、痛みが長期化することを防ぐことができると思っています。

 

続くー。

 

【目次】

第一回:森岡ゼミがターニングポイント

第二回:「痛みはどうですか?」と聞き続ける言葉のバイアス

第三回:患者と後輩のマネジメント

最終回:あらゆる人と繋がり沢山の視点を得る

 

今井先生オススメ書籍

ペインリハビリテーション

ペインリハビリテーション

Posted with Amakuri

松原 貴子, 沖田 実, 森岡 周

三輪書店

売上げランキング: 54353

Amazonで詳細を見る

「なるほど、その手があったか! 」が量産できる “ひらめき"の作法

「なるほど、その手があったか! 」が量産できる “ひらめき"の作法

Posted with Amakuri at 2017.9.4

東 信和

ファーストプレス

Amazonで詳細を見る

 

今井亮太先生のプロフィール

河内総合病院リハビリテーション部 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室博士後期課程

 

学歴

2011年 畿央大学健康科学部理学療法学科 卒業

2011年 医療法人河内友紘会 河内総合病院リハビリテーション部 

2015年 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室修士課程 修了

2017年 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室 博士後期課程 在学中

 

論文

  • 今井亮太,中野英樹,森岡 周:物体の視覚的提示に伴う腱振動刺激による運動錯覚時の脳活動-fNIRS研究-.理学療法科学.2012, 27(4): 401-405.
  • Imai R, Hayashida K, Nakano H, Morioka S. Brain Activity Associated with the Illusion of Motion Evoked by Different Vibration Stimulation Devices: An fNIRS Study. J Phys Ther Sci. 2014 Jul; 26 (7): 1115-9. 
  • 今井亮太,大住倫弘,平川善之,中野英樹,福本貴彦,森岡周.橈骨遠位端骨折術後患者に対する腱振動刺激による運動錯覚が急性疼痛に与える効果‐手術後翌日からの早期介入‐.理学療法学.2015. 42(1)1-7.
  • 今井亮太,大住倫弘,森岡周.腱振動刺激による運動錯覚が痛みに与える効果.日本運動器疼痛学会誌.2015. 7(2). 213-218
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Influence of illusory kinesthesia by vibratory tendon stimulation on acute pain after surgery for distal radius fractures: A quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2016. 30(6),594-603
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effect of illusory kinesthesia on hand function in patients with distal radius fractures: a quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2017.31(5):696-701
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. The influence of trait anxiety and illusory kinesthesia on pain threshold. J Phys Ther Sci. 2017 29(7)1236-1241
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effects of illusory kinesthesia by tendon vibratory stimulation on the post-operative neural activities of distal radius fracture patients. NeuroReport. 2017. in press.

受賞

  • 第48回日本理学療法学術大会 優秀賞
  • 第18回日本ペインリハビリテーション学会学術大会 優秀賞        
  • 第7回日本運動器疼痛学会学術大会 奨励賞ポスター賞
  • 第20回日本ペインリハビリテーション学会学術大会 優秀賞
  • 第7回学術誌掲載 理学療法学 最優秀論文賞(日本理学療法士学会)

学会活動

一般社団法人 日本ペインリハビリテーション学会 代議員

Regist free member
     post       pc
B
Le

PR

Interviews

Bnr 01