ー NTCSFとはどのような団体なのでしょうか?
加藤:将来、本気でスポーツに関わりたいと考えている理学療法学生が、現場に出るためのスキルアップや仲間の輪を広げることを目的に活動している学生団体です。
主な活動内容としては、セミナーや交流会といったイベントの開催、運営メンバーと希望者でのオンライン勉強会など、NTCSFの企画に参加してくれた方が何か行動を起こす、第一歩を踏み出すサポートをすることに念頭を置いて活動しています。
NTCSFの正式名称は「Next Trainers College for Sports Field」といい、その名の通り、次世代である私たち学生がスポーツ現場に関わっていく為に知識やスキルを学ぶ大学のような場所を作りたいという思いから2015年に発足しました。
スポーツをしている人の中には間違ったトレーニングや知識が原因で怪我をして将来を諦めてしまう人もいます。それは、育成年代や地域レベルのスポーツの現場に活動している医療従事者が圧倒的に少ないことが原因として考えられます。
現状、医療養成校に在学していても、スポーツ現場のことについて学ぶ機会が少なく、学生のうちからスポーツ現場に出て選手に関わる機会はありません。
そのため「学生のうちからスポーツの現場に関わって行くための知識やスキルを学ぶ場、そして実際にスポーツの現場を体験する仕組みを作ろう」と考えました。
最終的にスポーツ現場に関わる医療者を増やし、仲間の輪をつくることで、よりスポーツ界を活性化し、日本のスポーツ界の底上げになればと思っています。
麻奥:最近行っているセミナーでは、膝、足関節などと部位を分けてテーピングセミナーを開催しています。今後はトレーニングやトレーナーとは?といった内容のセミナーの開催を検討しています。
加藤:交流会ではスポーツを身近に感じられるようにお互いのやりたいことをシェアしあうことをやりました。「夢は語らないと叶わない」とよく聞くので、同じ志の人と夢を語りお互いの刺激や輪を広げるネットワーク作りを目的に行っています。
麻奥: 勉強会はメンバーが学んできたことをアウトプットする場として行っており、発表者を毎回決めて、テーマを絞り、スライドを作ってメンバーと希望者に発表しています。臨床でもスポーツ現場でも大切なアウトプットする能力を養うこと、現場や臨床で使える知識を共有することの2つを目的に月2回行っています。
ー セミナーは知識を入れるため。交流会では刺激し合うため。勉強会ではアウトプット能力を養うためが、それぞれの目的ですね。ではNTCSFの運営をしようと思ったのはなぜでしょうか。
麻奥:私は特定のスポーツにのめり込んでいたわけではないのですが、スポーツを頑張っている人がケガをきっかけに挫折してしまった時、何もできないもどかしさが嫌で、サポートできるようになりたいと思っていました。その中でNTCSFを知り、セミナーに参加してみて、運営しているのが学生で同い年の人もいるというのに驚き、更にその中にはすでに現場に出てサポートを実行している方も多く、私もそうなりたい、やりたい!と思い入りました。
加藤:僕は高校生の時にスポーツ分野に関わりたいと思い、理学療法学科に進学しました。学校の先輩が入っているNTCSFの交流会があり、先輩方の熱意や知識の豊富さ、技術の高さに感激して、ここに入ったら自分のやりたいことに近づけることができるんじゃないか、第一歩を踏み出そうと思い運営への参加を希望しました。
ー ではそもそも何でスポーツ分野を見たいと思ったのか。
加藤:高校生の時に怪我が多く、その時のトレーナーにしてもらった徒手手技に感激し、トレーナーに憧れたところから始まりました。そのトレーナーに勧められたこともあり、身体の知識が豊富なイメージの理学療法士からスポーツに関わることを目指そうと思いました。
麻奥:頑張っている人のサポートをしたい、と思ったことがきっかけで、最初はスポーツインストラクターに興味がありました。しかし、より多くの人、例えば高齢者のスポーツ愛好家など、幅広い年代でスポーツに関われるような職種があればもっといいのにと思い調べていたところ理学療法士という職種があることを知り、これだ!と思い目指しました。
ー 実際に養成校に入ってみてどうだったか。
加藤:学校では解剖学や生理学といった基礎医学をしっかり学ぶことができました。ただ、それだけで満足せず、将来スポーツ現場の第一線で活躍するには、プラスアルファの勉強も必要だと思いました。
麻奥:私はスポーツ選手だけではなくて幅広い年代のスポーツ愛好家をサポートしたいと思っていて、そういう方のサポートが出来るようになるためには学校で習う高齢者特有の身体状況や疾患が大切だと思うので、それを学べぶことができて楽しいです。 またジュニア世代に関しては、捻挫などの予防に力を入れていけば障害を事前に防ぐことができると、実習で整形外科に行った際に感じました。なので養成学校に入ってよかったと思います。
加藤:入学当初は学年の半分以上がスポーツ分野に進みたい、興味があると言っていたのですが三年になった今はだいぶ減りました。実際にNTCSFの交流会の案内がLINEで来ていたのですが参加したのは僕とあと一人でした。学校ではスポーツ現場に出るのはかなりの努力が必要だと言われているし、見る機会も少ないため身近に感じないから諦めてしまうんじゃないかなと思いました。
ー 実際はそうではなく、現場のニーズはたくさんありますよね。そう思ったきっかけはありますか??
麻奥:セミナーに行き、たくさんの先生から聞く中でスポーツ現場は話が来ることはないけど行けば、トレーナーを必要とする現場はあるよ。と、みなさん言っていました。
確かにそうだなと私は思いました。スポーツ分野は狭き門、というわけではなくて、誰も門を開けに行かないだけ。実際にNTCSFの先輩方は自らアクションを起こし門を開けています。それを身近に見ているので、ニーズはあると思いました。
加藤:特にNTCSFの先輩方が現場に出られています。
どうやって現場出たかというと、自分でアポ取ったり、母校に行ったりと言っていました。経験10年以上の先輩方などに聞くのは勇気がいるので、身近な同年代の人からどうやって現場に出たか話を聞いたなかで自分も出来ると思いました。だって同い年の人ができているんだから自分たちでも出来ると普通思わないですか。
ー 確かにそうですよね。現在のNTCSFのメンバーの現場、実績を教えていただいても可能でしょうか。
麻奥:社会人フットサルチーム、高校サッカー、野球、バスケットボールの現場に出られています。あとはドイツでスポーツ科学を学びに行った方もいます。今夏にドイツにいるメンバーのつながりを通じてドイツの第一線で活躍しているトレーナーと会うことになっています。
NTCSF全体として、クリニックの方にお声掛けいただきジュニア選手やプロ選手に対してフィジカルチェックをさせて頂きました。トレーニングまでも見学させていただき、トレーニング方法や雰囲気、コミュニケーションなど、実際の現場を見ることは毎回勉強することだらけです。
ー 今後の展望について教えていただいても大丈夫でしょうか。
加藤:NTCSFとしてこれからも、より本気でスポーツ現場に関わりたい学生が本気で活動できる環境、コミュニティを作っていきたいです。
具体的な活動として、「よりスポーツ分野を身近に感じてもらえる」セミナーの開催。また、メンバー個々のスキルアップを、勉強会やアウトプットの場で図っていきます。
その中で、見学研修が出来る現場の確保、いろんなスポーツの大会でサポートブースの設置、チームと契約を結びチーム帯同する、ということをしていきたいと考えています。
ー 最後にスポーツ分野に興味がある学生にメッセージをお願いします。
加藤:僕がそうだったようにスポーツに本気で関わりたい人、第一歩を踏み出したい人にはぜひ来て頂きたいです。NTCSFに参加することで行動力、セミナーでは知識・技術、交流会では一緒に切磋琢磨出来る仲間が手に入ります。
もちろんNTCSFだけではなく、様々なセミナーに参加しコミュニティに入ることでしか得られないものがあるので、いろんなところに行って見て下さい。
麻奥:いま女性のトレーナーの需要は高くなってきていると思います。私は行動を起こすことが大事だと思うので、スポーツ分野に興味があるのなら、男女関係なく、まずは何か1つでもアクションを起こしてみるといいと思います。
NTCSF:Next Trainers College for Sports Fieldとは
Facebookページ:Next Trainers College for Sports Field
スポーツ現場に携わるPTを増やすことにより、育成年代のサポート充実化を目指す学生団体です。
【活動内容】
私たちは活動の軸として、① Online勉強会、② 交流会、③ セミナー 主にこの3つを開催していきます。
① Online勉強会
1グループ5~6人で毎週行う全員参加型の勉強会です。実際の現場における選手役とトレーナー役に分かれ、受傷後の評価から治療,そしてスポーツ復帰までを考えます。
② 交流会
主に学生同士の繋がりを目的としています。仲間やライバルとなる同年代と意見を交わすことで、次のステップへの起爆剤を得られるのではないでしょうか。
③ セミナー
実際に活躍されている講師を定期的にお呼びして、現場でのノウハウやPTのリアルな部分を共有していただきます。また学生同士のディスカッションも大切にしています。