脳卒中後疼痛(以下CPSP)は、難治性を示しリハビリテーションや、ADLに支障を与える。 続く痛みでノイローゼや自殺企図になる事もある。
今回、産業技術総合研究所がCPSPを再現したサルのモデルを開発したと発表した。
研究の結果、脳損傷が安定してから数週間経過した後には、脳損傷前は逃げることがなかった軽い触覚や温度を与えたときにも逃げる様子が見られた。このことから、アロディニアのような症状が生じていると考えられ、これは、脳卒中患者の脳卒中後疼痛の病態と類似しているという。
さらに、疼痛の発症との関連が示唆されているミクログリアの変化を調査。損傷周囲領域では、損傷を受けていない健常領域と比べて、ニューロン近くに活性化したミクログリアが集積していることが確認できたという。
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CPSPは、神経そのものの機能異常が原因で症状が出現する神経因性疼痛と呼ばれる状態である。CPSPには、視床痛、視床上痛、ワーレンベルグ症候群が含まれている。
症状は、顔面や四肢にアロディニアや痛覚過敏などがみられる。
アロディニアとは、通常の触圧にも痛みを感じてしまうような状況であり、治療で触ることもできない為、リハビリテーションの大きな支障となってしまう。
今回のモデルは、その軽い触圧により逃避行動がみられる事からアロディニア様の症状が出現している為、CPSPと類似していると判断されている。
また、ミクログリアとは、神経変性に関与する細胞であり、神経障害因子を産生するとともに神経栄養因子、神経保護因子を産生する。つまり神経再生メカニズムの一因子である。
CRPSは、脳卒中患者の8〜11%に発症すると言われている。33.6%が日常生活に支障をきたしているとの報告もあるそうだ。
それにもかかわらず、有効な治療法は確立されていない為、モデル動物確率の必要性が叫ばれていた。
そんなCPSPの新たな希望となれるのだろうか。
今後の臨床応用への期待が高まる。