今回、玉置淳子大阪医科大学教授や近畿大学の研究グループが都道府県別に人口10万人あたりの大腿骨骨折の発生率について調査を行った。
全国の患者発生率は、女性が10万人当たり299人、男性同89人だった。
発生率は全国平均を100とすると、女性で最も高かったのは兵庫で120。和歌山(118)、沖縄(同)、大分(116)、奈良(同)と続いた。男性は高い方から順に、沖縄(144)、長崎(126)、和歌山(同)、佐賀(124)、兵庫(121)、鳥取(同)。
一方低いのは男女とも秋田、青森、岩手、宮城、北海道の順で、63~78にとどまった。
引用元:毎日新聞
この結果からもわかるように西日本において大腿骨骨折の発生率は高いようである。
玉置教授らは食生活の違いが影響している可能性があるとして調査を進めている。
実際西日本と東日本では「東は濃味、西は薄味」というように味の嗜好が異なるとされているが、一説によれば獲れる魚と好まれるダシの違いによるとのこと。このように味の嗜好が異なれば食生活の違いによる影響は大いに考えられるだろう。
また玉置教授はBMI(体格指数)の低さ、喫煙、多量飲酒、ビタミンDの不足などを大腿骨骨折の発症リスク要因として挙げており、これは骨粗鬆症を惹起する要因にもなり得る。
しかし今回の調査は公的医療保険を使った医療の受診記録に当たる診療報酬明細書(レセプト)の情報を全国で集めた国のナショナルデータベースを活用している。
あくまで受傷機転等は考慮されていないため単純に食生活の違いだけではないことは頭に入れておかなければならない。
大腿骨骨折の発生機序で最も多いのは転倒であり、我々理学療法士は再転倒を防ぐことを念頭に入れてリハビリテーションを提供して行く必要がある。その上で食生活等の指導などが出来るとより質の高いリハビリテーションが提供できるだろう。
ちなみにビタミンDは、シラス干し、サンマ、干しシイタケ、イクラ、あん肝などに多く含まれる。