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vol.4 マラウイへの外部支援|マラウイの未来のために

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マラウイでの2年間の活動を終えて

 僕の協力隊の活動は、理学療法士としてだけでなく人として多くのことを学ばせてもらった2年間でした。

 

 本来、小児リハビリテーションの知識や技術をマラウイの療法士や地域住民に伝達するということが、要請の目的であったにもかかわらず、僕は小児リハビリテーションの経験がありませんでした。これはJICAの選考により決定したもので、僕が希望していた国への派遣ではありませんでしたが、僕は高校生の頃より理学療法士として途上国の人のために活動することを夢見ていたため、マラウイへの派遣を決めました。

 

 活動当初は、自分の知識不足や言語の壁に苦しみ、悩む日々を過ごしていましたが、目の前患者さんや子供達のために自分のできることを精一杯やりきりたいという気持ちを胸に活動していました。活動の終盤には1人で村に行き現地語で治療を行うことや、同僚や学生に対しての勉強会を開きこの2年で学んだ知識や技術を伝達するということができました。また、「就職が決るまでの間勉強させて欲しい」と僕の配属先に実習に来ていたRTが卒業後にボランティアとして半年間無給で働きながら一緒に勉強をしていました。

同僚、卒業生と一緒に村のボランティアへ向けて行ったワークショップ

 

同僚と学生に向けた勉強会

 

 僕はコミュニケーション能力も高くなく、理学療法士として特別な知識や技術も持っていませんが、人間関係を築く上で大切なのは言語でも人種でも地位でもお金でもなく、目の前の人に思いやりを持ち自分のできることを精一杯行うことであると学びました。

 

村での一枚

 

停電の中でのフェアウェルパーティ

 

脳性マラリア

 活動中には日本では見られないような疾患も経験することができました。その中で僕が最も興味を持ったものが脳性マラリアです。脳性マラリアとは、マラリア罹患後に脳が損傷し、身体や高次脳機能に障害を持ってしまう状態を言います。しかしこれはマラリア流行地域での特有の疾患で、これに対する研究は進んでいない現状にあります。僕は活動中に村を周る中で多くの脳性マラリア児を診てきましたが、障害は児によって様々でどのような介入が適切なのかと言うことについて日々疑問を持ちながら介入していました。今後はこれらの子供達のために脳性マラリアについての研究も行なっていきたいと思っています。

 

新たな夢

 僕は、この2年間で教育の重要性に気づきました。国を発展させるためには教育が大切ですが、マラウイでは障害を持つ子供たちに対する教育にはまだ手が回っていません。そして、僕には新たな夢ができました。それはマラウイに障害を持つ子供たちのための学校を建てることです。いつ叶うかわかりませんが、僕が高校生の頃に協力隊を夢見ることができたように、マラウイの子供達にも将来の夢を持つ場を作れるよう、今後もマラウイと日本両国に関わり活動して行きたいと思います。

 また、協力隊の活動だけではマラウイのリハビリテーションを変えることは難しいと痛感しました。マラウイのリハビリテーションを変えるためには、政府や教育機関への介入が必須で、それに協力隊員の各地域での草の根の活動が加わってはじめてマラウイのリハビリテーションが発展していくのではないかと感じています。

 2017年度秋募集での青年海外協力隊マラウイの応募は終了してしまいましたが、今後も理学療法士の募集が出てくるのではないかと思います。興味のある方は是非チェックして見てください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 Tizaonana! Zikomokwambili!

 

*目次

【Vol.1】世界最貧国でも幸せな国 マラウイ

  マラウイの現状と医療

【Vol.2】マラウイにおけるリハビリテーションの現状

  マラウイでの生活とマラウイのリハビリテーション

【Vol.3】マラウイのリハビリテーション教育

  リハビリテーションテクニシャンと理学療法士

【Vol.4】マラウイへの外部支援

  マラウイの未来のために

 

 

金野 健人先生

2012年3月 北海道文教大学卒業
2012年5月 社会福祉法人 北海道社会事業協会 余市病院 入職
2015年9月 社会福祉法人 北海道社会事業協会 余市病院 休職
2016年1月 独立行政法人国際協力機構 青年海外協力隊 マラウイ派遣

vol.4 マラウイへの外部支援|マラウイの未来のために

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