筑波大の征矢教授、中央大学部の檀教授らの共同研究グループは、今月23日、登山といった高所でのレジャー活動時やスポーツの激しい運動時に感じる脳疲労、具体的には、注意・集中、計画・判断などの認知機能 (実行機能) が低下する認知疲労を確認した。
▶︎運動による脳疲労のメカニズムを解明 ―低酸素環境で行う中強度運動は前頭前野機能を低下させる―
まず研究グループは実行機能が低下する低酸素環境での運動実験モデルを作成。健常成人14 名の実験参加者に10 分間の中強度運動 (ペダリング) をおこなわせ、その前後に実行機能課題であるストループ課題 をおこなった。
その結果、実験室内の常酸素環境の空気 (20.9%酸素濃度) を吸引しながら運動する「常酸素条件」に比べて、標高3,500m 相当の低酸素ガス (富士山の頂上と同様; 13.5%酸素濃度)を吸引しながら運動する「低酸素条件」では、実行機能の指標であるストループ干渉処理時間が有意に遅延していた。
したがって、標高3,500m相 当の低酸素環境での 10 分間の中強度運動は実行機能を低下させることが明らかとなった。
なお、研究成果は、ニューロイメージング研究の国際学術誌「NeuroImage」オンライン版で2018年1月2日に公開されている。