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骨髄以外では、血はどこで作られる?|細胞・分子メカニズムが明らかに

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5月25日、東京理科大学生命医科学研究所の後飯塚僚教授、小田朗永プロジェクト研究員等の研究グループは、貧血や感染症の際に骨髄以外の組織で起こる緊急造血に関与する細胞ならびに分子メカニズムを解明した。

 

▶︎ 骨髄以外で血液を作る仕組みを解明 ~緊急時の造血に必要な細胞・分子を特定~

 

通常、骨髄に常在する造血幹・前駆細胞から様々な成熟した血液細胞が分化することで、末梢の赤血球、白血球数などが維持されている。また、感染症や貧血などの白血球や赤血球が緊急に大量に必要な場合においては、骨髄以外の組織、特に脾臓で、髄外造血が起こることが知られていたが、それに関与する細胞や分子メカニズムについては明らかにされていなかった。

 

今回、感染症時の緊急造血のモデルであるlipopolysaccharide (LPS)投与による髄外造血モデルを用いて、造血幹・前駆細胞の維持・分化に関与する脾臓の環境について解析した結果、LPS投与によって、脾臓器官形成に必須の転写因子であるTlx1を発現する脾臓特有の間葉系細胞でTlx1の発現が上昇し、それに伴い、本細胞選択的に造血制御因子の産生も増加し、造血幹・前駆細胞が本細胞に近接して局在することが判明した。

 

この LPS 誘導性の髄外造血モデルで、遺伝子改変マウスを用いて、脾臓間葉系細胞特異的に Tlx1 を欠損させると、LPS による造血制御因子の産生亢進ならびに脾臓における造血幹・前駆細胞数の増加が消失 することから、脾臓における Tlx1 発現細胞ならびに本細胞における Tlx1 の発現上昇が、 緊急時造血には必要であることが明らかになった。

 

さらに、脾臓間葉系細胞特異的にTlx1 を高発現するマウスを作製した結果、LPS 誘導性髄外造血と同様な現象が観察され、本転写因子の高レベルの発現のみで緊急時造血が再現可能なことが明らかになった。

 

以上の結果から、Tlx1を発現する脾臓間葉系細胞ならびにその細胞における Tlx1発現上昇が、緊急造血には必要充分な条件であると結論でき、すなわち、骨髄とそれ以外の組織における造血は、似て非なる細胞群ならびに転写因子によって制御されていること が、初めて明らかになった。

 

本研究成果は Scientific Reports 誌に掲載されている。

骨髄以外では、血はどこで作られる?|細胞・分子メカニズムが明らかに

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