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孫悟空が行う高重力下空間でのトレーニングは、本当に有効か?

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ブリーフ博士が造った宇宙船や界王星など、人気アニメ「ドラゴンボール」では、戦闘のための運動能力を高める修行として、高重力下でトレーニングするシーンが登場する。

 

今回、中部大学工学部ロボット理工学科の平田豊教授らは、人の運動学習能力が、重力を地上の重力加速度1Gを上回る過重力にすると高まることを実験で確認した。

▶︎ 高い重力下で運動能力が向上する現象を実験で確認 ─人気アニメ「ドラゴンボール」重力室の効果を再現─ (平田豊教授)


 実験には、遠心力を利用する過重力付加装置を使った。この装置の中では、通常の重力と遠心力が合わさって2Gの重力加速度を体軸方向に付加することができる。

 

実験では、こうした過重力環境下において、視界が左に約17度ずれるプリズムゴーグルを装着し、正確に指標(タッチパネル上の赤い円)を指差す訓練を行った。

 

プリズムの効果で最初は指差し位置が指標の左側にずれるが、指差し運動を何度も繰り返すうちに正確な位置を差せるようになる。実験の結果、1Gでは正確な位置を示すまでに約60回かかったが、2Gでは約20回まで短縮できた。同様の効果は実験に参加した全被験者4名で確認された。


 人に先立ち、同様に遠心力を利用した別の過重力付加装置を使って金魚で実験を行った。金魚では目の動きを視覚環境に適応させる訓練を行った。重力加速度を1Gから1.5Gに高めると、視線移動後の目の動きがより早く視覚環境に適応した。


さらに、過重力をかける代わりに明るい視覚環境下で訓練すると、より早く学習することも確認した。これまでの結果から、重力や視覚などの定常的な環境刺激の増加が、これらの信号を受取る小脳におけるシナプス可塑性(用語解説)を促進しているとみている。現在、この考えを確認するための神経生理学実験を平田研究室で進めている。


 今回の成果は、アスリートに限らず一般人が新たな運動能力を身に付けるための効率的練習環境を整える参考になる。過重力を作り出すには大掛かりな装置が必要だが、練習環境の明るさは容易に調整できる。運動の学習効率に対する重力と明るさの関係を詳しく調べれば、過重力に相当する環境を明るさで再現できると期待している。

 

孫悟空が行う高重力下空間でのトレーニングは、本当に有効か?

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