慢性腎臓病の最新知見とリハビリテーション

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慢性腎臓病の最新知見が研究により解明された。

 

 

 

慢性腎臓病の患者数は平成28年末の時点で32万9609人に達し、年々増加している傾向にあり、主な治療方法として日常生活指導、食事制限、薬物療法、血圧管理が挙げられる。

 

今回、慢性腎臓病(CKD)の治療に新たな治療方法ができる可能性が、内田らの研究グループと九州大学生体防御学研究会、東京医科歯科大学の共同研究により示された。

▶ 慢性腎臓病の新たな治療標的としてエネルギー不全の感知障害を発見-慢性腎臓病の新たな治療法開発へ期待-

 

東京大学医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎臓内科学分野の内田信一教授と蘇原映誠准教授、菊池寛照大学院生の研究グループは、九州大学生体防御学研究所分子医科学分野細胞機能制御学と東京医科歯科大学循環器内科と共同研究は、エネルギー代謝障害を引き起こす原因とその治療法を解明することを目的に開始された。

 

研究方法および結果としてはCKDモデルマウスの腎臓組織のメタボローム解析を実施し、代謝産物の種類や濃度を網羅的に分析した。分析後、CKDの腎臓はAMP/ATPの比率が上昇していることが分かった。次にAMPKに着目した結果、CKDの腎臓でAMP/ATPが上昇しているが尿毒素の蓄積や体内環境の酸性化などによりAMPKが活性化されない「エネルギー不全感知障害」をきたしていることが判明した。

 

そして、AMPKを活性化させるA-769662という薬剤を投与したところ、腎機能障害進行を止めることが発見された。また、低たんぱく食がAMPKを活性化させ腎機能障害や線維化を抑制することが発見された。

 

現在、慢性腎臓病の主な原因としては高齢化社会になっていることや生活習慣病による腎機能の低下がいわれている。これらの原因に対してリハビリテーションを実施することが求められている。CKD患者のリハビリテーションとして、ウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動、マシンあるいはフリーウエイトによるレジスタンス運動が実施されている。これらの運動処方を実施することでQOLの改善や運動耐容能の維持および向上、腎機能の改善をすることが明らかとなっている。

 

慢性腎臓病は予後として透析になる可能性があるため、今回のように治療標的が増えることで増悪するリスクの軽減および患者のQOLの改善を図ることが求められる。

 

参考:

‣ 腎臓リハビリテーション

慢性腎臓病の最新知見とリハビリテーション

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