東京都健康長寿医療センター研究所の石崎達郎研究部長、光武誠吾研究員らの研究グループは、東京都の後期高齢者約 131 万人分のレセプト情報を分析し、 後期高齢者の約8割が2疾患以上の慢性疾患を併存、約6割が3 疾患以上の慢性疾患を併存していることを明らかにした。

▶︎ ＜プレスリリース＞７５歳以上の約８割が２疾患以上、約６割が３疾患以上の慢性疾患を併存

頻度の最も高い3疾患の組合せは、男性では高血圧・潰瘍性疾患・虚血性心疾患（12.4%）、女性では高血圧症・脂質異常症・潰瘍性疾患（12.8%）であった。また、3疾患の組合せで頻度が上位15位までの中で、1年間の平均外来医療費が最も高かった組合せは、男性では高血圧・潰瘍性疾患・悪性新生物（827,644 円）、女性では高血圧・潰瘍性疾患・不眠症（682,811 円）であった。そして、多病を抱えやすい高 齢者の特徴は、男性、85-89 歳、医療費が1割負担、在宅医療を受けていること、外来受診施設数の多いこと、入院回数の多いことであった。

現在、国内外を問わず、科学的根拠に基づいた診療ガイドラインの多くは、多病を抱える患者への考慮・対応が十分ではない。本研究で示された高頻度の3疾患の組合せは、多病を考慮した診療ガイドラインを作成する際、優先的に考慮すべき併存疾患の組合せを選択する手掛かりとなる。

なお、本研究は国際科学雑誌「Preventing Chronic Disease」に1月31日付けで掲載されている。