動きのコツ®と脳卒中を活かした働き方とは【生野達也さん】

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ー 動きのコツ研究所リハビリセンターの特徴を教えて下さい。

 

生野 動きのコツ®️の基本的な考え方は認知神経リハビリテーションですが、認知神経リハビリテーションでよく使われる道具は一切使いません。日常の生活動作を用いながら運動学習を進める形へ体系化したものが動きのコツ®️です。「意識するだけで、自宅で一人で楽に動ける」体の使い方を指導することが特徴になっています。自分自身の意識や感覚を大事にするので、1セッション2時間をとって、じっくり1人のクライアントさんと向き合っています。

 

「今、右と左どちらに体重かかっていますか」といったように、なるべく相手の感覚を引き出して、自分の身体がどうなっているのかと対話をしてもらうようにしています。こちらから「今、体が右に傾いているから」と教えてしまっては、その場限りでは良くなるけど、家に帰った後に自己修正できるようになりません。

 

ー ここってベッドが見当たりませんね。

 

生野 基本的に徒手的な介入は一切しないのでベッドは使いません。触るのは姿勢の触診くらいです。クライアントさん自身が自分の体を評価して、自分でリハビリテーションできるためのノウハウを指導しています。最終的にセラピストとのリハビリから卒業してもらうのが目標です。

 

リハビリ後には毎回5分~10分くらいのビデオをDVDかUSBでプレゼントしています。その方の動きのクセを撮影して、意識するポイントなどを見直せるように渡しています。また、それを日常で実践していく中で、その様子を日記をつけてもらっています。

 

そうすると、意識するポイントを覚えやすくなるだけでなく、次来たときに日常生活の中でどんなことがうまくいかないのかを、こちらが把握できます。遠方から来ているという人には、毎回通うのが大変なのでテレビ電話を利用してのリハビリサービスも提供しています。動きのコツ®️は、道具を使わず、意識するだけで動きが変わるので、遠隔でも効果が出ます。

 

ー 生野さんは脳卒中になられた方の就労支援にも携わっているそうですね。

 

生野 今は、脳卒中の当事者同士で相談できるネットワーク作り、ピアカウンセリングを広めていきたいと思っています。脳卒中になり仕事ができなくなると、社会的役割を失います。すると、家族の中で負い目を感じてしまい、身体と共に心の元気も無くなってしまう方が多いです。

 

脳卒中の方に対する就労支援サービスをみると、現状では、基本的には健常者ベースの仕事です。例えば、モノづくりであったり、インターネットサービスを立ち上げたりとか。そうすると、健常者と比べるとどうしてもできる仕事が限られてしまうので、給与が下がってしまいます。

 

僕は、脳卒中当事者にしかできない仕事をなんとか生み出して、輝ける場所を作りたいと思っていました。ある日、ピアカウンセリングという役割を知りました。カウンセリングを学んだ経験豊かな脳卒中当事者が、悩みを持つ他の脳卒中当事者の精神的サポートをするものです。

 

脳卒中当事者同士が話す機会でこんなことがありました。発症7ヶ月の人が「脳卒中の機能回復は半年がゴールデンタイムと言われているけど、自分は全然良くならない」と泣きながら、周りの発症してから5年,10年の人に相談したんです。

 

そうすると、「まだ7ヶ月やろ。伸びしろしかないやん」という答えが返ってきました。すると泣いていた方の目に希望の光が湧き出してきたのです。その瞬間、「これは脳卒中当事者しかできない仕事になる!」と確信しました。しかし、ピアカウンセリングの歴史上、「カウンセリング技術は広がりつつあるけれども、仕事にならない」という問題が繰り返していました。

 

ー マネタイズはどのように考えているんですか?

 

生野 色々考えた結果、動きのコツ研究所のリハビリ回数券のシステムの中でピアカウンセリングが受けられるというカタチをとることにしました。

 

当事者の方に、集客やブランディングといったビジネスノウハウを教えることはできます。ただ、今世の中でやっている人の少ない新規事業を、当事者の方にやってもらうということは、かなりエネルギーがいることですし、なかなか難しい。僕らはピアカウンセリングが本気で必要なものだと思っているので、まずは自分たちのビジネスの中でやれることから始めていこうという結論に至りました。

 

脳卒中になっても、社会的役割を新たに見つけることでよりイキイキとした生活を送れるようになる。自分で稼いだお金で胸を張ってリハビリを受けることになれば、心も身体も元気になる。このコミュニティーが全国に繋がれば、笑顔になれる人も増えていくと確信しています。

 

ー 保険外での施設が増えてきている中で、他の施設に対して思うことって何かありますか?

 

生野 僕らは「楽に動ける、笑顔をみんなへ」という理念のもと活動しています。それを成し遂げるために、セラピストとしてのキャリアプランの選択肢としての保険外領域を確立したものにしたいという想いがあります。

 

近年、整体など保険外の施設が増えていますが、法令について明らかに勉強していないところがものすごく多いことを非常に危惧しています。日本理学療法士協会としても、職域拡大を目指して新たな道を作っていこうとしているこの時期に、法令違反をしているセラピストは大きな問題となります。

 

そういった人にも「困っている人の笑顔が見たい」という理念はあるはずです。しかし、法令違反をしていると大きなトラブルになる危険性があります。そうなると、日本理学療法士協会だけではなく、コメディカル全般、ひいては全国の藁にもすがる想いで保険外施設を利用しているクライアントの方々に迷惑をかけることを自覚した方がいいと思います。

 

保険外サービスは大変ですが、すごくやりがいがあります。ただ技術があれば成功するような生半可なものではありませんし、継続できない事業者もたくさんあります。それでも、その領域でしか笑顔にできないクライアントが間違いなくいます。経営は大変ですが、最高の笑顔をもらえるとセラピストとして大きな幸せを感じます。こんなやりがいのあるステージだからこそ法令遵守を徹底して、ちゃんと広めたいと思っています。


ー 最後に生野さんにとってのプロフェッショナルとはなんでしょうか?

 

生野 自分の理念に基づいて、日々行動を積み上げられる人だと思います。理念があるからこそ、何くそと思ってやり続けられる。壁にぶち当たっても諦めない、その裏側にある理念が一番大事だと思っています。

 

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