【5感で溢れる日常】
私たちの身の回りは、5感を刺激するもので溢れています。心地よい日差しで目覚めて(視覚)、小鳥の鳴き声が聴こえる(聴覚)。
コーヒーのいい香りを嗅ぎながら(嗅覚)、マグカップの手触りを感じながら(触覚)、ほろ苦いコーヒーを味わう(味覚)。
一日の始まりのわずか数分の出来事でも、私たちはこれだけの感覚情報を感じ取って生活しています。5感を活用して購買意欲を高める「感覚マーケティング」に取り組む企業も増え、そのなかでも特に「嗅覚」が注目を集めています。
香りを放つ製品(柔軟剤・香水・アワックス)は日常生活のなかで広く出回っており、近年ではアロマ関係の市場規模は3千億円以上にも膨れあがっています。そんな中、意外な業界でもアロマの存在感が増しています。それは『スポーツ界』です。
先日引退を発表したばかりの大リーガーのイチロー選手もアロマを積極的に活用したアスリートです。彼がバッターボックスで毎回行っていた「片手でバットを立てながら、服を触る仕草」。
このとき、服に付着させているアロマ(グレープフルーツ)の匂いを嗅いで、集中力を高めていたと言われています。
野球をあまりよく知らない私は、ずっとこの仕草を“ホームラン予告”だとばかり思っていました・・・。
「香り」を感じる嗅覚は、5感の中で唯一、大脳に直接働きかけることができる特殊な感覚です。特に海馬や扁桃体が存在する大脳辺縁系と強い繋がりがあります。大脳辺縁系の主な役割は「本能的行動」「情動反応」「記憶」の3つです。嗅覚以外の感覚は大脳で感知する前に、判断を司る前頭葉を介するため、わずかですが時間的なロスが生じます。ところが、嗅覚は直接大脳に働きかけることができるため、「本能的な行動」を瞬時に起こすことができます。例えば、プラスチックなどを燃やした際の有毒ガスや、食べ物が腐っている匂いを嗅ぐと、「うっ・・・」と無意識に顔をそむけることがありませんか。つまり、嗅覚は無意識のうちに私たちの身体を守ってくれる重要な感覚であるということです。
しかし、前頭葉にも大切な役割があります。前頭葉は、人が行動を起こそうとするときに中心となって働く部位で、「注意力」「判断力」「冷静さ」など状況判断や理性に働きかけます。スポーツにおいては一瞬の状況判断や冷静な対応(判断)が勝敗を大きく分けます。脳内の活動は、酸素や糖分のエネルギー源が必要不可欠ですが、それを運搬するのは血液です。 前頭葉の賦活は、脳内の血液量を増やすことが大きなポイントになります。つまり、スポーツ分野におけるアロマの活用は「前頭葉」をいかに賦活させるかが求められます。
さまざまな「香り」を嗅ぐことによる 運動中のパフォーマンスの変化を調べた実験によると、「集中する香り」や「リラックスする香り」は、「無香」の状態と比較して約7倍もの脳血流の上昇が認められました。さらに運動前後でアロママッサージを使用することで、乳酸値や運動後の疲労感が軽減するなど身体的疲労や精神的疲労の軽減が図れたことも証明されています。
運動パフォーマンスを高めるために、「香り付きのテーピング」を鼻部に付着させ、常に香りを嗅ぎながら運動できる製品が開発されています。
また、オンピックの選手村でも試合前の緊張感を和らげるために、アロマを使用してリラックスできる空間づくりを行っていると言われています。 試合前のコンディション調整や試合中のパフォーマンス向上にアロマ「香り」の活用は常識となりつつあります。近い将来のリハビリテーションにおいても、アロマは欠かせない存在となるのではないでしょうか。
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