筑波大学の共同研究チームは、平成28年「国民生活基礎調査」の回答データを用いて、65歳以上の人々における難聴と外出活動制限・心理的苦痛・もの忘れ(いずれも自己申告)の関連を調査。その結果、「きこえにくい」と回答した人は、外出活動制限、心理的苦痛、もの忘れの割合が多く、難聴による相対リスクは外出活動制限に対して2.0、心理的苦痛に対して2.1、もの忘れに対して7.1であったー。
▶︎ 高齢者における難聴は、外出活動制限・心理的苦痛・物忘れと関連する
2015年の世界の疾病負担研究によると、難聴は、「生活の不自由さを持って生きる年数の第4位に位置付けられる重要な機能障害である。また、難聴を持つ高齢者は、家族や友人とのコミュニケーションが難しくなり、買い物や旅行などの外出活動に困難を感じるようになると言われている。
今回、本研究チームは厚生労働省による平成28年の「国民生活基礎調査」の回答データを利用し、224,641世帯のうち自宅で生活する65歳以上の方、137,723人を解析対象とした。難聴との評価項目として、外出活動制限、心理的苦痛、物忘れの3つを設定し、「きこえにくい」と自己申告で回答した人々とそれ以外の人の各項目を多変量ロジスティック回帰分析を用いて、年齢・性別・喫煙・飲酒・社会経済的因子・通院中の疾患の影響を統計学的に調整した上で、難聴の各項目に対するリスクを推定した。