作業療法士の魅力を、一般の人に伝えるのって中々難しいですよね。今回は、作業療法士 古川絵美(ふるかわ・えみ)さんが発起人となって、京都府の作業療法士が作成された「作業療法士AtoZ ~自分らしく生きるを支える~」を紹介させていただきます。
AからZまでを頭文字に取った、26つの作業療法士のエッセンスを掲載され、ビジュアル的にも分かりやすく、会う人会う人につい配ってしまいたくなるようなリーフレットです。現在は、地域のサロンでワークショップ時に活用されたり、大学のオープンキャンパスで配布されるなどして活用されています。今回、古川さんには「なぜ作成されたのか」、作成までの経緯を伺いました。
古川さん 作業療法士になって11年が経ちます。 急性期病院や外来クリニック、デイケア、認知症初期集中支援チームでの経験や高次脳機能障害家族会に関わらせていただき、色んな人との出会いがありました。
悔しくて悲しい場面に遭遇することもあります。「何もできひん」「人生終わりや」と悲観して自宅に引きこもる人、親しい友人に会わないようになった人、家族一緒に自殺まで考えた人。
病院で勤務する作業療法士は、日常が突然失われた方との出会いは必然です。 怪我や生活習慣病には「予防」が必要と言われているけど、 心の「予防」は言われているのでしょうか?
日常を奪われ、今までの生活が一変するタイミングで 初めて自分と向き合うことになる。 果たしてそんな状態で「大切なこと」に気づくことができるのでしょうか。 そうではなく、元気な時から自分にとって大切な作業に気づき、作業バランスを考えながら生きていくことが、健康や幸福に繋がるのではないかと思います。
そして、何か人生で大きな転機がきた時でも、「作業の力」は 苦難を乗り越える一助になる可能性を秘めていると思います。
そのためには、作業療法士のエッセンスを一般市民の方々がアクセスできるもの、作業療法をもっと身近に感じてもらうものを作りたいと思いました。決して堅苦しくなく、ビジュアル的に手にとってもらいやすいもの。 そんな思いを福知山公立大学の塩見直紀さんにお話したところ、「作業療法AtoZ」を作りましょう!という話になりました。
塩見さんは、AtoZという古典的手法を活用して、地域・人・ものごとなど、魅力の可視化 することにチャレンジされています。また、「半農半X」というライフスタイル(自分や家族が食べる分の食料は小さな自給農でまかない、残りの時間は「X」、つまり自分のやりたいこと(ミッション)に費やすという生き方)を提唱されています。
塩見直紀さんの大切にされていることの中に、作業療法士のエッセンスも融合されていると思っています。 作成にあたっては、一人で創るのではなく京都で繋がれた作業療法士の皆様と一緒に一つのものを作りたい、残したいと思い、お声がけをしました。 自分らしく生きる人がこのまちに増えると、まち全体もいきいき活気づくことができると思っています。
Photo:作業療法士AtoZを作成された古川さん