こんにちは、POST編集部の森田です。
リハビリテーション職のみなさんは、"いい病院知らない?"という相談を知人から一度は受けたことがあるでしょう。かく言う私も、先日叔母が脳梗塞になり、親から「今度、リハビリ病院に移るらしんだけどさ。手は動くらしいんだけど、言葉が出てこないみたいなのよ。どこかいい病院知らない?」と聞かれたばかりです。
その時は、少し考えたあと、「どこどこだったら、有名な〇〇先生がいるよ。あと△△には自分が働いていた系列の病院があるから、知り合いの言語聴覚士がいるし」と答えたのですが、今になって考えてみるとこれが的確なアドバイスだったのか、いささか疑問です。まず、私が知っている限りの範囲で答えてしまったこと。さらに「勉強会に参加したりや学会発表などを行なっている人でも、それが必ずしも実際の患者さんからの評価が良いとは限らないわけですから。
ということで、今回は「Dr.ヤンデルの病院選び」という本を紹介させていただきたいと思います。
ヤンデル先生と言えば、フォロワー10万人の医療界を代表するインフルエンサーです。コルクの佐渡島庸平さんとの交換ブログも超おすすめ必読記事なので、ぜひこちらもよろしければ見てみてください!
LINEで相談を受けた時にPTとしてするべきこと
まず冒頭に、ヤンデル先生の友人が腹痛に悩んで先生に電話相談をされたエピソードが紹介されており、ヤムリエ(やまいのソムリエ)の作法には、
・医者だからと行って、専門外のお話に詳しい訳ではない。
・「正論」としては、電話で済まそうとしないで、病院に行った方がいい
・ですが、「病院でどういうことを話せばいいのか?」ぐらいの整理はできる
・その方法を病院に行く前に自分でやってみる
書かれています。
これは理学療法士にとっても、かなり頷ける部分が多いと思います。まず、病院に行く前に「何を医療者に伝えるといいのか」を整理させてあげることは、とても大切だと思いました。
今は医療・健康分野においても行動経済学がフォーカスされていますが、患者も医師もそれぞれ、バイアスに意思決定が左右されることが非常に多いです。例えば、たまたま電車で目に入った「あなたの〇〇はこれが原因かも」という謳い文句を、不安に思っただけかもしれません。
患者サイドが「いつ、何がきっかけで、どこに痛みがあるのか」といった、身体の情報を適切に伝えることができれば、より適切な情報共有・リハビリテーションにおける意思決定が行えると思います。患者向けのガイドラインが作成されている疾患もあるので、それを勧めてあげるのもいいかもしれませんね。
"いいリハビリ病院"とはどんな病院か?
次にヤンデル先生はこう書かれています。
私が考えるいい病院とは、
1.家や職場から近い、ないしは交通の便がよいため、通いやすい
2.医療以外のスタッフの指示・対応が適切で、通いやすい
3.医者がなんだか信用できるから、通いやすい
4.自分の病気にぴったりフィットしているから、通いやすい
つまりいい病院とは「通いやすい」かどうかに集約されるということです。
ヤンデル先生は「名医もヤブ医もめったにいない。9割は普通の医者だ」と書かれています。現代医療においては「ガイドライン」や「標準治療」に準じた医療サービスが提供されるわけですから、「〇〇は、これをやっておけば治る」といった謳い文句に代表される、"インチキ医療"が実施されることはほとんどありません。実際、リハビリテーションも、1度通うだけで卒業なんてことは殆どありませんから、通いやすさは間違いなく重要要素です。
また、2番目の「医療以外のスタッフの指示・対応が適切」に関してヤンデル先生が客観的に判断できそうな指標として、「病気や行動について帰宅後に使えるアドバイスをくれたかどうか」ということを挙げています。リハビリテーション室を出たあとの時間をアドバイスすることは、言わずもがな大切ですよね。患者さんの24時間まで考えられる理学療法士がいるということ判断基準として確かにいいかもしれませんね。
ただ、「名理学療法士・ヤブ理学療法士」の定義に関しては、リハビリテーション領域に関しては、ハッキリと言いにくい部分があります。
実際、あるテクニックで難解な症状を次々に改善させる理学療法士がいれば、名理学療法士なのかもしれません。しかし、ヤブ理学療法士に関してはどうでしょうか?介入後の次の日に痛みが強くなったということは、経験したことがある人も多いと思います。(さすがに毎回だとヤブですが…)
上記の意見に関しては、賛否両論ありそうですね。twitterでのご意見もお待ちしています。
他にも、かぜや、血圧・コレステロール・血糖、性病、がんなどについての病院選びの作法が書かれています。
良ければ是非手に取ってみてください!(^ ^)
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