須永康代先生-大学(埼玉県立大学)教員としてウィメンズヘルスを研究する理学療法士(PT) -

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ウィメンズヘルス理学療法学

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POSTインタビュアー:学生や若手療法士が将来に不安を感じている現状があるのですが、先生はそのような声は聞いたことはありますでしょうか?

須永先生:よく学生が言っているのは、卒業して最初に就職するところは、幅広く疾患を診られる総合病院が良く、多くの疾患を診ていないと、その後やっていけないのではないか、ということで、漠然とした不安があるようです。

昔に比べると地域リハビリテーション領域で働きたいという学生も増えてきていますが、まだ少ないのが現状です。やりたいことが色々あるけど、絞らなければいけないのではないかと不安に思っている学生も結構います。

そういうときは、いいとこ取りではないですが「いろんなところに興味があって、色んなことを見てもいいのではないかな」という話はしています。女性の学生だと、結婚したり出産したら働けなくなるのではないか、という不安もあるようですね。

去年から大学のカリキュラム改変に伴って選択科目に「ウィメンズヘルス理学療法学」が出来ました。科目責任者なのですが、開講初年度ということもあり、選択したのは女子だけだったのですが、その中で社会的な環境の話をしたときには、PTの働き方のような部分も学生と話しました。普段の授業ではそういう話をするような機会はないですし、学生が不安に感じていても教員側も、それをくみ取ってあげられるところがないのかなとは思っています。

POSTインタビュアー:なるほど。それは非常に学生としては心強いですね。

ウィメンズヘルスに興味を持ったきっかけ

インタビュアー:ウィメンズヘルスの理学療法がカリキュラムになった経緯を教えてください。

須永先生:2014年度の3年生から始まりました。私自身もこの領域の内容が学部のうちから少しでも耳に入っていた方がいいだろうなと思っていました。ちょうどカリキュラムを新しくするときに、学科内で大学卒業後「こういうことを勉強してきました」と言えるような科目があった方がいいよねという話がありました。

各教員が各々の領域で一つコースを選択する科目を作るということになりました。教員の数だけ選択科目があり、重複のない限りはいくつでも選択してよいことになっています。ウィメンズヘルス理学療法学は特に女性限定としてはいないのですが、今選択しているのは女性の学生だけです。なかなか男性の学生は取りづらい感じですが、メンズヘルスの話も少しできればいいのかなと思っています。

それとは別に、発達障害の講義を担当しています。そこでは高齢出産が増えてきているため、障害を持っている子が増えてきているとか、障害の重症度も高くなってきているという話をしています。

インタビュアー:先生がウィメンズヘルスに興味を持ち、その後活動されるまでのきっかけを教えてください。

須永先生:私が学生のときに「ウィメンズヘルスの理学療法」が存在することを知りました。しかし、最初は総合病院に就職し、その後大学に転職しました。仕事として研究もしていかなければいけないということで、学生のときにウィメンズヘルスというものがあると聞いていたのを思い出しました。

当時は”ウィメンズヘルス”という言葉もあまり耳にしたことがなく、女性特有の疾患に関われたらいいなと思っていました。自分自身も結婚して、妊娠したということもあり、本格的にやっていこうと決意しました。

しかし現状で、フィールドがあまりないですね。最初に妊婦さんの研究を始めた時は、看護学科の助産の先生に相談し、産院を紹介していただきました。

今は時間的にも臨床で関わる機会はありませんが、研究で妊婦さんに来ていただいて調査をさせていただいています。

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須永先生ご登壇イベント

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【目次】

第一回:ウィメンズヘルス理学療法学

第二回:保険適応を目指して

第三回:ママとしての強みを生かす

須永康代先生経歴

埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科卒業

牛久愛和総合病院リハビリテーションセンター就職

広島大学大学院保健学研究科修了 修士(保健学)

広島大学大学院保健学研究科博士課程後期 在学中

現在、埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科 助教として勤務

<活動>ウィメンズヘルス理学療法研究会 世話人

<著書>ウィメンズヘルスリハビリテーション ウィメンズヘルス理学療法研究会編集

<論文>

Biomechanics of rising from a chair and walking in pregnant women. 2013 Applied Ergonomics 44 (5)

   

 

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