東京医科歯科大学大学院の片桐さやか助教と高齢者歯科学分野の戸原玄准教授の研究グループは、経口摂取の重要性を細菌学的な観点から証明した。
▶︎ http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20191227_1.pdf
口腔と大腸は腸管を通じてつながっており、食物、だ液、口腔内細菌は嚥下によって腸管へと流入しているため、これらが腸内細菌叢の変化に影響を及ぼす可能性があるが、今まで経口栄養がどのように腸内細菌叢に影響しているかは、不明だった。
脳卒中の亜急性期に経管栄養となり、その後、摂食嚥下訓練を受け経口摂取となった8名を対象に、唾液と便の採取を、摂食嚥下訓練前の経管栄養時および摂食嚥下訓練によって、経口栄養となった後に行った。
その後、次世代シークエンサーを用いて、口腔内および腸内細菌叢の細菌種の同定、細菌種間の相関関係、その細菌叢の予測される機能(機能遺伝子)を解析しました結果、経口栄養を再獲得することにより、口腔内および腸内細菌叢の多様性が増加し、細菌叢の組成が変化していることを見出した。加えて、Carnobacteriaceae 科とGranulicatella 属の細菌量が経口食物摂取の再開後、口腔および腸内の両方で増加していた。
国際科学誌 Frontiers in Cellular and Infection Microbiology に、2019年12月20日にオンライン版で発表されている。