正常マウスに対してエクササイズを行うと、骨格筋の間葉系前駆細胞が細胞老化をおこし、筋の再生が促されるーー。
札幌医科大学の齋藤悠城助教と藤宮峯子教授,、北海道大学の千見寺貴子准教授らの研究グループが明らかにした。
▶︎ エクササイズが骨格筋にもたらす“再生”と“変性” ~間葉系前駆細胞の“老化”は骨格筋の再生を促す! 細胞老化を味方にする新しい治療戦略への期待~
慢性炎症性筋疾患は持続する炎症や線維化をきたし、筋機能を低下させる。副腎皮質ステロイドは有効な治療法のひとつであるが、筋機能を十分に回復させるためにはそれだけでは不十分であり、運動介入の重要性が増している。
慢性炎症性筋疾患に対する運動は、筋機能を回復させる有効な治療法であることが報告されているが、すべての症例で有効なわけではなく、場合によっては炎症や線維化を悪化させてしまう危険性も有しています。
本研究では、筋再生と変性の両方に深く関わる間葉系前駆細胞に着目し、筋再生と変性時に活性化する間葉系前駆細胞の特徴をそれぞれ解析し、細胞老化システムがその鍵を握っていることを発見し、研究を進めた。
骨格筋に慢性炎症をおこしたマウスでは間葉系前駆細胞の老化が不十分で,エクササイズによってむしろ骨格筋の線維化病態を悪化させることがわかりました。
そこで、骨格筋に慢性炎症をおこしたマウスに対して、エクササイズと AMP-activated proteinkinase(AMPK)を活性化する薬物治療を組み合わせて治療すると、不十分であった間葉系前駆細胞の細胞老化が誘導されて,筋の再生を促すことが明らかになった。