気分障害(うつ、意欲低下、不安)と日常生活動作の自立度、麻痺の程度、ストレスを自覚する強さ、高次脳機能との関連性について機械学習を用いて解析したところ、脳卒中後うつ病はストレス適応力が低下することが原因であることを明らかにー。
今月12日、広島大学 脳・こころ・感性科学研究センターの濱聖司研究員、山脇成人特任教授、大学院先進理工系科学研究科の古居彬助教、辻敏夫教授の研究グループが発表した。
▶︎ https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/61081
研究グループは、これまでCT・MRIを用いた脳卒中後うつ病の脳画像解析研究から、脳卒中後うつ病は『抑うつ気分』と『意欲低下』の二大症状に分類され、各々異なる神経基盤が関与し、リハビリテーションを阻害する大きな要因になることを報告していた。
本研究では、日比野病院に入院してリハビリテーションを行った脳卒中患者274名に対して気分障害(うつ、意欲低下、不安)を測定し、日常生活動作の自立度、麻痺の程度、ストレスを自覚する強さ、高次脳機能との関連性について独自の機械学習モデルを用いて解析。
その結果、今回提案するモデルを用いることで、一般的な方法よりも比較的高い精度で抑うつ気分、意欲低下、不安を識別可能であることを確認した。
また、このモデルの中の指標で『ストレスを自覚する強さ』が三つの気分障害の識別に最も関係することから、脳卒中によって脳の特定の領域が損傷を受けて少しずつストレス適応力が低下していくことが脳卒中後うつを発症する原因であることを示した。