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「なぜ、できるのに誰もやらないんだろう」生活習慣病予防ジムExlult|塩見耕平

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第359回のインタビューは、株式会社Exlult 代表取締役の塩見耕平先生。2019年3月に筑波大学発ベンチャーExlultを創業し、同年11月西麻布に「血糖コントロールに基づく生活習慣病予防ジム」をオープン。自費施設でありながら、医療機器承認されている設備を揃え、血糖コントロールと血管機能の改善を目指す。

 

血管疾患・ガンのリスクを未然に減らす

 

ー Exultは簡単にいうとどのような施設なのでしょうか?

 

塩見 Exultは、一言でいうと「病気のリスクを減らすことが確認できる施設」です。お客様の健康状態を、医療機器を用いて視える化し、疫学的なデータに基づいたトレーニングや食事指導を行うことで疾病予防を実現します。

 

よくある人間ドックでは病気の有無をゼロイチで確認しますが、Exultではそれよりも一歩前の段階で身体内部の状態を把握することで、血管疾患・がんのリスクを未然に減らすことを目的にしています。

 

今は、健康診断である項目がC判定(医師の診察や、保健指導を必要とする所見がある)やD判定(精密検査や治療を必要とする所見があった)が付いて受診した時に、Drから「まだ薬飲むほどじゃないから様子みよう」と言われたら、行き場がなくなってしまいます。

 

その段階でもやれることはあるのに、なぜ誰もやらないんだろうと思って、Exultを作りました。

 

ー 塩見さんが理学療法士になってからExultを起業するまでのキャリアを教えてください。

 

塩見 はじめは筑波記念病院で働いて、そこは研修が結構しっかりしている病院で、その時にICUから在宅まで経験させていただきました。

 

修士課程にも通ったのですが、その時は角速度センサー使った転倒予防みたいな研究をやって、正直つまらないなと思ってしまったんですね。

 

というのは、研究をやるのはすごく大変で、手間も予算もかかりますが、それにしては、世の中へのインパクトが少ない。自分がやらなくても、もっと別の優秀な人がやればいいとも思いますしね。

 

最初の職場で上司と意見が合わず、病院を辞めてPTも辞めようと考えていたところ、お亡くなりになられた筑波大学附属病院の江口清先生に拾っていただいて、もう少し頑張ってみることにしました。

 

博士課程にも行くつもりはなかったのですが、糖尿病の研究をしていた理学療法士の先生が熱心で面白そうだと思い、感化されて腎臓内科と社会医学系の二つ研究室に所属する形で進学しました。

 

臨床では、透析患者さんや下肢を切断する方などに対応し、僕ら医療従事者は一度血管がボロボロになってしまうと結局、対処療法しかできないので、それよりも早い段階で防ぐようなサービスがあった方がいいのではないかと考えてExultを立ち上げました。

 

文科省の大学発ベンチャー支援プログラム「Edge-Next」に採択されて起業家育成プログラムを受けたあと、2019年3月に会社を起こして、ここをオープンしたのが11月です。

 

ー 起業してから1年経ちましたが、感触としてはどうですか?

 

塩見 正直なところ甘かったなと思います。最初はここに来てくれた人がSNSにアップして拡散してくれたら、それでどんどん予約も入るものだと思っていました。

 

しかし、もっと社会のニーズは別のところにありました。

 

医学的な情報に基づいて、正しく身体のケアをするお手伝いができますよっていう、その”正しさ”って多くの人にとってはいらなくて、それよりも「他の人より素敵に見られたい」とか「手っ取り早く痩せたい」とかそういうところを求めているのだと気づきました。

 

ー 本来はどのような形で使ってもらうイメージをしていたんですか?

 

塩見 もともとはクリニックに近いイメージで、少なめの頻度で数値を改善していけたらと思っていたのですが、どちらかというと手取り足とりやって欲しい人が多い印象を受けます。人はそんなに簡単に変わらないですしね。

 

なので今はトレーニングジムと連携するかたちとか、一般のパーソナルトレーニングのように週1、2回の介入しつつ、月に一回チェックを受けてもらうという方がいいんだろうと考え直しているところです。

 

私が結局何をしたいかというと、病院に行かないと確かなエビデンスにもとづく生活指導を受けられないという状況を変えていきたいです。病院だけが高水準のものを提供している今の状況だと、疾病にかかってしまう人を減らすのには限界があると思っています。

 

次のページ>> Exultではどんな設備を使って、視える化しているのか 

 

 

 

「なぜ、できるのに誰もやらないんだろう」生活習慣病予防ジムExlult|塩見耕平

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