はじめに
未曾有の災禍から1年。息苦しく感じたマスクも今や自然と着用するようになり、Withコロナの生活にも適応し始めていることを実感します。未だ収束の兆しは見えませんが衛生物品の供給も安定し、昨年に比較して精神的なゆとりを取り戻してきているようにも思えます。
しかし、介護保険サービスの利用も控え、在宅自粛を厳守されている高齢者の方々は友人や家族に会えず、不安や孤独感は強まる一方です。
既に多くの機関がコロナ禍における高齢者の影響を調査し、報告していますが、実際に訪問している作業療法士が利用者様の生の声を届けたいと思います。
症例情報
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年齢を言い訳にしない、強く優しい明るい女性
初回訪問時、快活な雰囲気で趣味・社会活動にも積極的に参加し、正直に言えば「リハビリの必要がないんじゃないか?」と思いました。独居で生活されている理由は『家族は声をかけてくれるけど、一人で出来ている内は迷惑をかけたくない』とのこと。
多くの高齢者が年齢を理由に様々なことを諦めてしまう中、現役で社交ダンスの大会や英会話を始めるような行動力とチャレンジ精神が魅力的なこの女性の精神機能低下の経過を報告します。
コロナ自粛での影響
3密回避を求められるよう呼びかけられ始めた頃、ご家族様の意向により趣味活動や介護保険サービスが全て中止となりました。買い物も配送サービスか、ご家族様が週に1度面会することで対応し、屋外での活動機会はほぼなくなりました。
中止期間中、私はこの方の身体機能が衰えないよう、自主トレのメニューを作成して郵送。月1,2回程、電話で状態確認や運動方法の指導を行いました。
孤独に悩まされるようになった
訪問リハが再開となったのは中止から3ヵ月後のこと。幸い大きな運動機能の低下はなく、久しぶりの再会。しかし、開口一番は『生きる希望がない』と暗い表情で発言されました。その後も傾聴を続けていくと僅か3ヵ月の間に志向性や会話の傾向が大きく変化していました。
以下に発言内容と背景を簡素化します。
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訪問リハビリで何ができるか
私が思う訪問分野の大きな利点は、利用者様の生活空間でリハビリを提供するため、療法士の関わりによっては生活そのものが自律した自主トレーニングになることです。
1週間の内わずか1日、1時間しか介入できないため、如何に利用者様の行動変容を起こすかが非常に重要となってきます。
急性的な精神機能低下状態にあるこの女性の場合では、行動変容に向けた明確な目標設定の確立はかえって負担になることが想定されるため、現行の運動療法を継続しつつ内的動機付けを誘発できるように関わりました。
具体的には屋外歩行訓練中に綺麗な落ち葉などを採取。
消毒して乾燥させたものの中から気になったものを選び、好きなように表現してもらいました。作業分析上ではコラージュ療法に近しいアクティビティで、自己表現やカタルシス効果を期待しました。
大好きな夫と手を繋いでいることを回想して出来た作品は『この楓のようにまた手を繋いで歩ける様に頑張りたい』と前向きな発言を引き出すことが出来ました。
その後はデイサービスへも復帰し、ほとんど元の笑顔を取り戻した状態で生活をされています。身体機能領域での訪問は利用者様やケアマネージャー、医療機関から作業活動の提供が求められることはほとんどありません。
しかし、閉じこもりや精神機能低下を引き起こしやすい現在の社会背景にこそ、作業特性を活用した関わりが利用者様の行動変容、延いては社会参加に好影響を与えるのではないかと考えます。
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