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【知見】腰椎前弯の影響と腰痛との関係

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慢性的な痛みになりやすい腰痛について、特に理学療法評価で上がってきやすい身体機能異常について書いています。

Hola!(スペイン語でこんにちは)、週の真ん中水曜日の江原です。最近は坐骨神経痛や腰痛など、慢性疼痛の代表ともいえる疾患の理学療法の基本的な事項を再確認しています。

 

本日は基本的な脊柱のアライメントについてです。腰椎前弯増強位についてどのように対応していますか?アライメントと痛みの関係と古典的な理学療法から、文献的考察を進めていきます。

 

腰椎前弯増強と痛みに関わる知見

脊柱のアライメント、腰椎での正常弯曲はL1とL5のなす角がおよそ45°を成す生理的前弯があると言われています。前回の記事の起床時の腰痛でもお示ししたように、アライメントはあらゆる姿勢、立位や座位や臥位でも症状に関わる場合があります。

 

体を伸ばして腰椎を伸展すると、腰椎の生理的前弯が増強します。そこに股関節伸展運動を加えると股関節前面の関節包に加わる他動的な力により、さらに生理的前弯は強まります。

 

このような過剰な腰椎前弯増強した姿勢は慢性的に取り続けることによって、椎間関節隣接領域に大きなストレスをかける可能性があります。また棘間靭帯を圧迫することになり、腰背部痛の原因ともなります。

 

また同時に椎間孔に注目すると、腰椎前弯増強は椎間孔の直径に影響します。最大11%も低下する知見もあり、下肢痛や下肢の感覚異常がある患者には腰椎前弯増強姿勢は注意する必要があります。

 

その一方で、椎間板の髄核が後方に変位している場合、腰椎前弯増強姿勢は髄核を前方へ変位させる効果があり、椎間板内の圧力を低下させることが示されています。

 

この現象は『中枢化』と呼ばれており、特に腰椎を前弯方向へ促すような姿勢へのアプローチ後に、下肢の遠位に生じていた痛みや感覚異常が大腿や腰の方へ戻ってくる現象を指します。

 

このような時には椎間板やその中の髄核物質と神経根との接触圧が低下したことが示唆されています。

 

ウイリアムズ体操とマッケンジー体操

腰椎のアライメントと痛みに関する現象から生まれた、2つの治療体操があります。まず腰椎前弯増強と言えば、古典的な運動療法であるウイリアムズ体操が思い出されます。ウィリアムズ・バック・エクササイズ、ウィリアムズ屈伸運動、ランバー・エクササイズなどとも呼ばれています。

 

腰痛患者に開発された保存的治療のためのエクササイズで、腰部伸展位(前弯増強位)から腰椎屈曲機能を改善し、臀部と腹部の筋力強化する腰痛患者に推奨されています。

 

開発当初は、50歳以下の男性と40歳以下の女性で中等度から重度の腰部前弯増強があり、腰椎X線単純撮影で腰部L1-S1間の椎間板が減少している患者を対象にしていました。

 

ウイリアムズ体操の臨床的意義は現在はあまり高くありませんが、腰痛に関する最新のエビデンスが集まる以前は標準的な治療法と言われていました。腰椎前弯を減少させるための運動として、両下肢屈曲位で抱えて数秒間保持する運動があります。

 

この運動は椎間孔を開大させ、椎間関節へのストレスを減弱する効果があります。腰椎が前弯増強すると腰椎の後面にメカニカルストレスがかかるため、ウイリアムズ体操で腰椎後面にかかるストレスを減じます。

 

また同様の腰椎の運動から狭小化しやすい椎間孔を開大し、神経根への圧迫を減弱させる目的もあります。

 

もう一つがウイリアムズ体操と対極の考え方で構成された腰痛治療法、マッケンジー式伸展運動(マッケンジー法)です。ウイリアムズ体操と同時期に開発され、その目標には腰椎前弯の保持があります。

 

養成校の授業でウイリアムズ体操を習い、腰椎のアライメントは腰痛患者の臨床イメージに合うため非常に納得しましたが、その真逆になるマッケンジー法のコンセプトを知った時、衝撃を受けました。

 

またその開発秘話となる、ヘッドアップできるベッドに間違ってうつ伏せで寝てしまったのに腰痛が改善した患者さんのエピソードは、痛みの臨床での気づきを大事に臨床経験を積み重ねていった経緯を感じます。

 

2つの治療法は、腰痛への身体機能の病態が全く異なりますが、治療効果にはどのような違うがあるのでしょうか?

 

ウィリアムズ腰痛体操と無治療の対照群を比較した8週間の研究では、実験群は腰痛が減少し、ハムストリングス筋、股関節屈筋、腰部伸筋の柔軟性が増加し、腹筋力の向上も認められました。身体機能と痛みが改善していますね。

 

マッケンジー法では複数の研究により、亜急性および慢性の腰痛に対して他の運動療法よりも優れていることが示されています。理学療法ガイドライン第1版にも記載されています。

 

この両者を比較した研究では、痛みの減少と腰椎の動きの回復を指標に比較すると、マッケンジー体操を受けた患者は、ウイリアムズ体操群の患者よりも有意に短い期間で機能を改善したことがわかりました。

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腰椎アライメントと身体機能と痛みの関係

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