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【書評】認知能力を認知せよ。

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今回は三輪書店様よりご献本いただきましたので、書評させていただきます。本書は、「ひとつ先を行く理学療法」と称された一冊です。認知能力と聞くと高次脳機能に関連するワードだと瞬時に療法士はイメージすることでしょう。

 

実際に、高次脳機能障害に対して臨床応用の方法も紹介されていますが、別の視点でも学びの多い書籍だったため、ここではその部分にも触れていきたいと思います。

 

分析し行動に移すためには?

我々療法士にとって“評価”はどんな時でも重要視されるものです。当然それは患者さんに対してですが、自分自身にも置き換えることができます。

 

日々、療法士のとっては学びの連続で学びを得るためには先行して“認知能力”が重要になります。つまり、現在の自分の立ち位置がわかり、今必要な知識技術を学ぶわけです。

 

「何を勉強したら良いのかわからない」という悩みは定番の悩みではありますが、「患者さんに何をしていいのかわからない」と同じ意味にもなります。このような悩みのポイントが“認知能力”にあるということです。

 

現状を認知することができるからこそ、それを分解し分析し実行することができます。このプロセスをまとめたのが本書と言えます。

 

言葉でわかりにくい定義を図で理解する

最近の書籍ではよく見られる前編フルカラーの本書ですが、特徴的なのは図です。本書の中では、概念の説明等多用されますが文章で理解するのが難しいものがあります。その点、概念図を多用することで整理されている本書は、イメージで学ぶ方にとっては「なるほど」と理解しやすいものになっているでしょう。

 

この概念図のわかりやすさが、「認知能力」を学ぶ上でのガイドとなっています。文章が苦手な方は、この概念図だけでも学びの多い書籍であると言えます。


臨床での活用においてはCBA(認知行動関連アセスメント)の取説書籍

高次脳機能障害といえば、苦手意識をもつ療法士も多いと思います。高次脳機能障害の基本的解説を含む本書ですが、CBA(認知行動関連アセスメント)を臨床に落とし込むための取説が本書の重要点です。

 

具体的な内容は書籍を通して学んでいただければと思いますが、他職種連携においてはお互いの職務に関しての認知が重要になり、CBAの活用はそのガイドとなります。

 

言葉だけが一人歩きしている他職種連携を一つのガイドで示すCBAの活用は今後特に重要な能力であり、「ひとつ先を行く理学療法」と称した所以なのだと思います。

 

amazon紹介文

患者さん利用者さんの認知機能・認知能力を捉え、 より手ごたえを感じられる理学療法を実践しよう!

理学療法士にとって運動機能・動作能力の回復改善は最たる目標のひとつです。自分が思っていたほど回復改善が伸び悩む場面に遭遇することはないでしょうか。患者さん利用者さんがリハビリテーションに対してどのように感じどのような思いで取り組んでいるのか知りたいと感じるときはないでしょうか。


患者さん利用者さんの認知機能・認知能力を簡便に捉えることができ、理学療法に加味することでその効果も期待できるならば、患者さん利用者さんにとって有益であるばかりでなく、理学療法士としての臨床力も向上することは想像に難くありません。

 

本書では、認知機能・認知能力を理解するために、難解とも感じやすい高次脳機能障害をわかりやすく捉える評価法である認知関連行動アセスメント(CBA)を用いつつ、言語聴覚士と理学療法士のエキスパートによる即実践可能な評価アプローチとしてまとめあげています。

 

回復期(入院回復期/在宅回復期)から生活期にわたって、患者さん利用者さんの置かれる場面ごとに応用も可能ですので、簡単なポイントさえ掴めれば、従来の評価アプローチにCBAをプラスするだけで、どのような臨床現場にも導入できます。あなたの理学療法のエッセンスとしても、ぜひ手にしてほしい一冊です。

【書評】認知能力を認知せよ。

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